春に見どころを迎える千本桜や、国産材の最高級ブランドとして知られている吉野杉の集積地として、豊かな自然が残る奈良県・吉野。金峯山寺や吉水神社といった、歴史的な仏閣も多く残されているこの地で、名産品となっているのが吉野葛だ。
葛(くず)とは、マメ科植物の根から生成される食用の粉のこと。奈良県だけではなく、石川や宮城といった県の一部地域でも作られているが、吉野葛は特に質が高いことで知られている。
吉野地方に古くから伝わる水晒しの技法で作られた葛を吉野葛と呼び、純粋に葛のみを使って生成したものは吉野本葛と呼ばれる貴重品となる。
名阪国道山添ICより、車でおよそ40分の場所にある『天極堂 奈良本店』は、1870年に創業した吉野葛の老舗中の老舗だ。1キロの葛根から100グラムしか取れないという葛粉を、当時から変わらない製法で作り続けている。
東大寺の西大門跡地にある天極堂 奈良本店では、吉野本葛や葛湯といったメニューを始めとして、食感がたまらない葛切りや葛饅頭といった多彩なメニューを味わうことができる。歴史ある奈良の名品を、味わうことなく帰宅するのはあまりにももったいない。