『おおみやけ』は、瀬戸内海に浮かぶ直島で、登録有形文化財に宿泊できる宿だ。直島までは、岡山県の宇野港よりフェリーに乗船。およそ1時間ほど船に揺られて到着する宮浦港より、車でおよそ5分の場所に立地している。
宿の名前になっている「おおみやけ」とは、三宅姓の最高位に当たる家柄を尊称し、人々が「大」を付けて呼ぶようになったもの。建物自体は、三宅家第21代が初代の称やに任命されて以降、明治時代の初期になるまで倉敷代官に仕える村の役所だった建物だ。築400年を数える長屋門と母屋の2棟が登録文化財となっている。
洋室と新館のゲストハウスも用意されているが、やはり母屋は別格。建てられた時代の雰囲気と時の流れをそのまま切り取ったような独特のロケーションが堪らない。
食事は、カフェとレストランにリノベーションされた長屋門で頂こう。「茶寮おおみやけ」は、立派な梁や柱が目を引く当時のままの造りとなっている。10名以上の団体で予約をすれば、母屋の座敷で日本庭園を眺めながら食事をすることも可能だ。一般公開されていない文化財で宿泊したり食事したりできる体験は、おおみやけならではのものだろう。