愛媛県の松山にも、ソウルフードとして愛されている粉モン料理が存在している。それが、この地方では三津浜焼と呼ばれるご当地グルメだ。
三津浜焼きは、その名前の通り松山市の西部に位置する旧三津浜町周辺で誕生した料理。見た目はお好み焼に酷似しているが、大阪や広島のお好み焼きとは作り方に違いがある。
三津浜焼きは、広島風お好み焼きのように麺を具材として用いる。広島風お好み焼きは、具材の上に麺を乗せる一方、三津浜焼きは生地・麺・具材の順に乗せて2つ折りにするのだ。
考案されたのは戦前とされ、水に溶いた小麦粉を鉄板で焼き、その上にねぎを乗せていたものがベースとなっているのだとか。人によっては広島風お好み焼きよりも歴史が古いと豪語する、三津浜っ子御用達の粉モンである。
港町として発展した三津浜。そこで、美味しい三津浜焼きを提供しているのが創業50余年の老舗『日の出』だ。松山自動車道松山ICより、車でおよそ25分。店内は、カウンター席がいくつかあるだけ。しかし、そのたたずまいがすでにどこか懐かしい。牛肉やちくわといった大阪や広島風のお好み焼には見られない具材がたっぷり詰まった三津浜焼きはボリューミーで、鉄板で焦げるソースの香りが堪らない。古き良き風情残る三津浜の町で、隠れた名物グルメを堪能しよう。