その姿かたちから、海のギャングとも呼ばれるウツボ。あまり食材として見かける機会はないが、高知県の土佐市ではカツオと並んで古くから食材として好まれているという。
ウツボの身自体は、地鶏に近い歯ごたえがある。皮と身の間にはゼラチン質があり、この層が濃厚な旨味を持っている。しかしながら、捌くのが非常に困難で熟練の技術が必要。この扱いづらさも、全国的に普及していない要因の1つだ。
そんなウツボの処理を独自の技術で生み出したのが、昭和47年創業の老舗『土佐料理 たたき亭』だ。高知自動車道高知ICより、車でおよそ10分。この店は名前の通り、ウツボのたたきの元祖である。
メニューの中の一つ「うつぼタタキ」は、捌いて内臓などを取り除いたウツボを寝かせ、柔らかくなった所で焼いた1皿。ポン酢を掛けて薬味と一緒に頂くと、独特の触感とゼラチン質の旨味がいっぱいに広がる。
また、合わせて頂きたいのが「うつぼのひれ酒」だ。ふぐやアンコウの骨酒はさして珍しいものでもないが、ウツボのひれ酒となれば話は別。ほどよくアルコールを飛ばした日本酒と天日で乾燥させた後、焼かれたウツボの香ばしさが堪らない。