京都が誇る夏の味覚といえば、ハモ。しかし、それは今だからこそ言えることだ。海から遠く離れた内陸の京都中心部では、輸送に時間がかかり、保存や冷蔵技術も発達していなかった時代では新鮮な魚介類を京都で味わうのは難しかったのである。
そこで目を付けられたのが、魚介類の中でも生命力に長けていたハモだ。梅雨が開けて気温が上がる7月から8月にかけて、ハモは旬の時期を迎える。京都に運び込まれた新鮮なハモは、そのうち夏の風物詩として定着していったのである。
今では、高級食材として扱われるハモだが、ハモ料理として味わい尽くすなら『京料理 堺萬』である。元離宮二条城のすぐそば、名神高速道路京都東ICより車でおよそ20分の場所にある堺萬は創業140年を数える老舗。すでに、6代続く京都を代表する店舗だ。
ハモ料理には欠かせない技法である職人技・骨切りの妙技も見事で、瀬戸内から直送されるハモの鮮度と美味さも極上のモノ。
ハモのそうめんに始まり、葛たたきや薄造りなど、ハモをこれでもかと堪能できる。ハモ料理自体は5月から10月にかけての期間限定なので、スケジュールを調整してぜひとも訪れたい名店だ。