メルセデス・ベンツがEクラスの改良新型を発表。同時に、予約注文の受付を開始した。デビュー以来、実に3年ぶりとなるマイナーチェンジにより、Eクラスは新開発のステアリングホイールを始め、多くの先進装備を与えられている。ソフトの面で大きな進歩を遂げた。
よりスポーティに、よりワイドに
メルセデス・ベンツのラインナップの中で主力販売モデルはどれか?と聞かれれば、恐らくほとんどの人がEクラスと応えるであろう。そして、それは紛れもない事実である。
現行Eクラスはシリーズ通算10代目を数え、2016年にデビューした。源流をたどれば『V170』をルーツとするEクラスは、これまで世界累計販売台数1400万台を超えるベストセラーだ。
今回の改良により、Eクラスはほんの少しだけスポーティ路線に舵を切った。現行モデルは元来どちらかと言えば丸みを帯びたおおらかなデザインであったが、エクステリアを鋭く大胆なイメージを与えるように変更。AMGのラインエクステリアが一部のグレードを除いて標準で装備される。
ヘッドランプはメルセデスのスポーティラインにも通じる形状にリデザイン。切れ長でシャープな造形となった。同時に、フロントグリルは大きな末広がりの台形に。クロームが美しく輝くダイヤモンドグリルを採用した。
また、セダンタイプではリアのデザインも変更されている。横に伸ばし、分割されたコンビランプが装着され、フロント/リア共に視覚的なワイド感を演出する。
使い勝手も、見た目も進化したステアリング
インテリアでは、新開発のステアリングホイールがブランドとしても初めて採用された。
グレード名にスポーツを冠するモデルおよびAMGモデルには、3本のツインスポークを持つステアリングを採用。E450 4MATICのエクスクルーシヴにおいてはスポークをブラックアウトすることで落ち着いた上品さを演出する。
また、ナビやインストルメントクラスターや安全運転支援システムの様々な設定が、全てドライバーの手元で行えるような設計がなされた。機能性と利便性を備えるこの機能は、走行中の安全性も担保するものである。
さらに、元々タッチコントロールボタンやステアリングホイールに掛かるトルクによって判別していたハンズオフ機能の改良のため、ステアリングに静電容量式センサーを備えたパッドを装着した。このセンサーは、簡単に言えば流れる電気を検知することで、どのような操作がされたか判断するシステムだ。近年では様々なモノに応用されており、スマートフォンの画面やキーボードのハイエンドモデルなどにも用いられている。
ステアリングにこのセンサーが採用されたことにより、ステアリングにトルクが掛からなくてもEクラスはドライバーがステアリングを握っている/握っていないを判断することが可能になった。ディタンスアシスト・ディストロニックがより使いやすくなったといえる。
ARを用いたナビを国内向けに初めて搭載
加えて、インフォテインメントシステムの機能や装備も大きく進化している。12.3インチワイドスクリーン2画面を標準装備し、メルセデスが誇るAIを用いた対話型インフォテインメントシステム・MUBXを搭載。2年前より搭載が進められていたこのシステムが、満を持してEクラスに採用されることとなった。
同時に、タッチパッドを採用したセンターコンソールでも多くの機能を使えるようになった。特に、ドライバーの身振り手振りを読み取る驚きの機能も装備する。例えば「Vサイン」をかざすことで、車内のライトを始めとする設定画面が表示されるメニューを呼び出すことが可能だという。
また、日本で販売される車として初めてAR(拡張現実)の機能を用いたナビを備える。通常のナビは、ドライバーが目的地をナビに指定すると、画面に表示された簡略化された道をハイライトする形で道案内を行うが、このAR採用のナビシステムでは、それらにプラスして現実の景色を画面に映し出す。実際の景色に、進行方向を示す矢印を表示して案内を行ってくれるという。
単純な2Dのナビと比較して、直感的で分かりやすいナビが可能になった。
* * *
新型Eクラスはセダンが769万円~、ステーションワゴンが810万円~、オールテレインが938万円という本体価格で販売される。グレードは合計17グレード展開だ。数々の最新技術と、日本初の装備を手に入れたEクラスは、またしても日本車をおびやかす存在となってしまったのである。