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【CG】国内初のスポーツカーが進化を遂げた軌跡の上質クーペ

1978年、トヨタ「セリカ」の上級グレードとして登場したのが「スープラ」だ。誕生当時はラグジュアリー感を強く感じるものの、時代とともに本格スポーツカーとしての威厳を見せつけていく。日々、変貌を遂げるその姿は、日本だけでなく海外でも根強い人気を誇る一台だ。今回は、そんなスープラに隠された歴史について徹底的に暴いていこう。

セリカのラグジュアリー上級モデル

国産車初のスペシャリティーカー「セリカ」をベースに、さらなる上級クラスとして生まれ変わったのが「スープラ(Supra)」である。1978年に誕生以来、40年以上の歴位を誇るモデルだ。

初代スープラをリリース時、日本国内では「セリカXX」と名付けられていた。その後、欧米での販売に向けて、ラテン語で「至上かつ最高」といった意味を持つスープラの名が与えらる。「XX」という表記は、アメリカで成人指定映画の用語として使われるために、変更されたのだろう。

スープラの開発背景には、日産「フェレディ」の影響が関係しているのをご存知だろうか。当時、北米市場ではフェアレディが注目を集めており、このヒットに刺激を受けてスープラの開発計画がスタートした。

また、北米トヨタのマーケティングにより、6気筒エンジンを搭載するスポーツカーが人気を集めている情報を入手したことから、セリカの4気筒エンジンをベースにボンネットを大きくして6気筒エンジンを搭載。結果、セリカよりも大きなエンジンを積む上級モデルとして、そのキャラクター性を導き出した。

スープラの現行モデルは、ホンダの本気を感じさせる本格スポーツカーに仕上がっている。エクステリアデザインは、ホイール、トレッド、低重心の3つにこだわることで、ピュアスポーツカーとして理想の形を実現。

インテリアデザインは、ドライバー本位のコックピットを意識している。見晴らしはもちろん、ドライビング中の運転姿勢変更に負荷をかけないインパネを導入。また、ホールド性の高いスポーツシートにより、すべての走りを快適なものへと導いてくれること間違いないだろう。

主なスペックをRZで確認すると、ボディサイズは全長4380mm×全幅186mm×全高1290mm、重量は1640kg、排気量は2997L、最高出力は285kw(387ps)/5800r.p.s、最大トルクは500n・m/1800~5000r.p.mだ。また、エンジンは6気筒と4気筒の2種類を搭載。2種類のチューニングで、爽快なスポーツ走行を楽しめるだろう。

時代を超えてもなおカルト的な人気を誇る「スープラ」

40年以上もの歴史を誇るスープラは、これまで数々のモデルを排出した。その筆頭となるのが、ラグジュアリーで豪華なGRTモデルとして登場する「セリカXX( A40型/50型)」だ。前期モデルはクラウンの4M-EU型2.6リッター直列6気筒を搭載し、後期モデルは5M-EU型2.8リッター直列6気筒エンジンに変更されている。

その後、1981年には2代目「A60型」が登場する。同時期にラグジュアリークーペとして「ソアラ」が登場しいるため、先代からの高級路線は譲ることになるが、結果として性能アップに専念でき、パッケージもボンネットを低くして、よりスポーツカーらしい表情へと変化した。

3代目「A70型」からは、セリカXXの名称を廃止し、スープラに統一される。また、車体構造もセリカとは全く異なるものに変更。3代目にして、大きな躍進を遂げたモデルである。その後、マイナーチェンジを遂げ、天井の一部を取り外してオープンドライブを楽しめるエアロトップを導入するなど、印象的な構造も大きな特徴の一つだ。

そして、4代目「A80型」になると、さらにスポーツカーとして色濃く進化を遂げる。別名ハチマルスープラとして親しまれており、マニアの中では現在もなお根強い人気を誇る1台だ。また、映画ワイルド・スピードでは主役級の車両として抜擢されており、アメリカでも数多くのファンがいる。

2019年には、5代目となる「DB型」が登場する。パッケージデザインは、初代から受け継がれるロングノーズ・ショートデッキを継承。従来のどのモデルよりも走りに特化した性能を備えている。また、米国ラスベガスで行なわれたSEMAショー2019では、公式カスタムとして「GRスープラ ワサビ コンセプト」を公開。その名のとおり、明るいグリーンで塗装されたボディカラーが印象的だ。

そして、2020年4月28日、スープラに一部改良が施された「RZ Horizon blue edition(ホライゾンブルーエディション)」が誕生した。こちらは、特別仕様車となり、販売時期は同年10月頃を予定している。ボディカラーは全7色となり、「マットストームグレーメタリック」のみ27台の数量限定販売となっている。

現代モデルでは、公式カスタムによる艶やかなカラー展開や限定色など、色に対するこだわりも見せている。こうした純正カラーとは別に、新たな100種類のバリエーションを展開してみた。これまでに類を見ないような新しいカラー展開に、目を向けてみても面白いだろう。

スープラの車名ロゴに隠された秘密

2019年に発表された現行モデルのスープラは、先代となる80型の車名ロゴと微妙にデザインが異なっている。この新しいロゴデザインで器用されているsupraの「S」は、ドイツにあるサーキット場と深い関係を持っているのだ。

ドイツには、「ニュルブルクリンク」と呼ばれる非常に過酷なサーキットがある。その過酷さと森に囲まれていることから、緑の地獄という異名さえ付けられる一方で、スポーツカーの聖地としても名高い土地の一つである。スープラのSは、このニュルブルクリンクのS字コーナーがモチーフとして使われているのだ。

過激なサーキットにも頼もしい走りを見せてくれるスポーツカーとして、こうしたデザインが起用されているのかもしれない。

* * *

日本だけでなく、アメリカでも根強い人気を誇るスープラ。1978年に誕生以来、40年以上もの歴史の中で進化を遂げながら、現在もなお日本のスペシャリティカーを代表する1一台だ。今後、また新たに登場するであろう新世代スープラたちが、どんな伝説を残していくのか楽しみである。

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