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【トヨタ ヴェンザ】ハリアーの左ハンドル仕様としてカムバック

トヨタ ヴェンザが、およそ5年の歳月を経て米国市場へ戻ってきた。2015年に販売を終了していた先代モデルは、カムリのプラットフォームを流用し、2.7L 直列4気筒エンジンと3.5L V型6気筒エンジンがラインナップ。AR型のエンジンを搭載した初めてのモデルだった。

先代ヴェンザはミニバンとステーションワゴンを混ぜたようなデザインとなっていたが、復活を遂げた2代目ヴェンザは、日本国内で既に販売されている4代目ハリアーの左ハンドル仕様車となっている。つまり、2代目ヴェンザは新型ハリアーの海を越えた、遠くにいる双子なのだ。

エクステリアは僅かに北米仕様らしくなった

2代目ヴェンザは、新型ハリアーと双子といっても二卵性ではない。一卵性双生児だ。そのため、エクステリアデザインは新型ハリアーと瓜二つ。並べて見てみると、間違い探しをしなければならないほど、よく似ている。

従来通りの手法ならば、ベース車両は同じでも日本/海外でモデル名が異なるケースでは、ボディの3サイズやデザインが変えられる場合がほとんどだった。

しかし、2代目ヴェンザは新型ハリアーの優れたプロポーションをそのまま米国に輸出した形だ。思えば、元々北米に向けて生み出されたRAV4が日本国内でも反響を呼んだように、「どういうクルマをカッコいいと思うか」という部分について、現代人の感覚は日本国内でも、アメリカでもそう変わらないのかもしれない。

2代目ヴェンザのエクステリアを改めて見てならば、結論としては4代目ハリアーがあれだけ上品かつ洗練されたデザインになっているのだから、その左ハンドルであるヴェンザのデキが悪いワケがないということになる。

だが、それだけでは少し乱暴なので詳細を見てみると、実は微妙な違いがあることが分かるだろう。精悍さと鋭さが印象的なフロントマスクを彩るシグネチャーランプを繋げたライン処理が異なるのに加え、フロントグリルがわずかに大きくなっているような印象を受ける。

トヨタ ヴェンザ インテリア

インテリアの心地よさはハリアーと共通

インテリアも、2代目ヴェンザは新型ハリアーとコンセプトを共有する。心地よい、上質な室内空間はハリアーと比べても全く遜色ない仕上がりだ。

大きな違いと言えば、やはり左ハンドル仕様となっていることだろう。ハンドルの場所の違いは、意外にも外から見た時にアピール度抜群である。

用意されている装備に関しては、12.3インチのタッチスクリーン式ディスプレイや、マルチインフォメーションディスプレイ、業界初となるドライブレコーダー機能内蔵型デジタルバックミラー、10インチのヘッドアップディスプレイを用意。日本国内でもオプションとして評価が高い、電動シェード付きパノラマルーフももちろん搭載する。

採用されたPEDと呼ばれる予測効率ドライブにより、ドライバーの運転スタイルを解析、ナビのシステムを活用することで交通状況に併せたバッテリーの充電を行う。このPEDが優秀であり、勾配や渋滞でバッテリーの充電と放電を最適化する。

例を挙げるなら、車体が坂道に近づくと、エンジンブレーキが強めに掛かるように設定。アクセルペダルを離すと、バッテリーの充電効率をアップさせてくれるシステムだ。

トヨタ ヴェンザ インテリア

新型ハリアーとの大きな違い

2代目ヴェンザは、単一のパワートレーンを搭載する。日本国内で販売されている新型ハリアーのように、2.0L 直列4気筒エンジンや2WDでのハイブリッドの設定はない。ヴェンザに採用されるのは、2.5Lの直列4気筒エンジンにトヨタの次世代ハイブリッドシステムであるTHSⅡを組み合わせたハイブリッドのみだ。

この次世代型ハイブリッドシステムは、コンパクトサイズでありながら優れた効率を発揮する2.5Lの直4に、3つのモーターを組み合わせたモノだ。前輪をエンジン及びフロントモーター、後輪をリアモーターで動かすエレクトロニックオンデマンドAWDを採用している。

従来より、更に繊細で緻密なトルク配分が可能になったこのAWDにより、2代目ヴェンザは優れた走行性能と燃費性能を手に入れた。

また、システムの小型化にも貢献している新開発のリチウムイオン電池を用いることにより、システムでの総合出力は219hpに到達する。

* * *

新型となったヴェンザには、新型ハリアーとはまた異なる販売戦略があるようだ。新型ヤリスがそうであるように、海外市場では燃費に優れるモデルの拡販を推し進めたい思惑が見えるようにも思う。ハリアーがフルモデルチェンジを果たし、ヴェンザも生まれ変わった。開発コストが抑えられ、燃費性能にも優れたヴェンザは北米トヨタのSUVラインナップでも、大きな力となるはずだ。

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