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小さなプレミアム・スポーツセダン IS350に見る、レクサスのブランド力

レクサスのISは、トヨタ・アルテッツァの後継として2005年にデビューした。トヨタが生んだFRスポーツセダンとしては名機との呼び声も高かったアルテッツァの素性を受け継ぎ、高い走行性能と上質で洗練されたエクステリア/インテリアデザインを与えられたモデルだ。

レクサスの純血スポーティセダン

トヨタがレクサスブランドの日本展開を始めた当初からラインナップしていたGSやISと同じく、レクサスの第一期生として認知されている。そんなISが3代目へと代替わりしたのは、2013年5月。マイナーチェンジを経て最新型となったのは2016年だ。

開発されるにあたり「真の走る楽しさの体現」をキーワードとして掲げられ、コンパクトなスポーツセダンというコンセプトを受け継いでいる。躍動的なドライブフィールや存在感のあるボディスタイルは、現在のレクサスを象徴するものである。

現行型ISでは、新しいプラットフォームが採用されている。レーザースクリューウェルディングと呼ばれるレーザーによる溶接や構造用接着剤の使用により、ボディ剛性は大幅に向上。スポーティセダンならではの、キビキビとした操作感を実現している。キャラクターアイコンである拡大したスピンドルグリルを装備したフロントマスクは、インパクトもバツグンだ。

ニーズに応える小さな韋駄天

また、コンパクトボディながら、ISはクラウンとほぼ変わらない全幅を持っている。そのように見えないほどのワイド&ローの演出は、国内外でも評価の高かった先代のフロントデザインを純正進化させた結果からくるものだろう。スピンドルグリルを中心として、高くなったブレーキダクト用エアインテークでアグレッシブさを増したバンパー形状と、L字型LEDライトを備えたヘッドライトが押し出し感をより強めている。

リアのデザインは、シャープで長いコンビランプが特徴的だ。レンズの内部に並べられた層状のL字グラフィックが、立体感を演出する。さらに、ボディサイドに刻まれるキャラクターラインも独特。リアサイドシル付近から角度を付けて跳ねるラインは、思い切りが良い。同時に、リアフェンダー端を折り返して成型するヘミング工法を採用することで、リアビューの”踏ん張り”感を高めた。

ボディサイズは全長4680mm×全幅1810mm×全高1430mmで、競合ひしめくスポーツセダン界隈ではど真ん中ともいえるサイズ感だ。この「丁度いい」ミドルサイズも、ISの強みの一つだといえるだろう。

絶妙なバランス感覚で成り立つレクサスの「高級車」という概念

レクサス IS350は、スポーティモデルであるFスポーツとバージョンLという2グレード展開となっている。搭載されるエンジンは最高出力318PS、最大トルク38.7kgf・mを発生させる3.5L V型6気筒DOHCエンジンだ。

従来型に搭載されていた2GR-FSEより、2GR-FKSへと変更されたこのパワートレーンには、アキトンソンサイクルが採用されている。元々完成度が高かったGR系エンジンだが、ポート噴射と直噴を場面に応じて使い分けるD-4Sの追加によって、より熟成度を増した。アクセルを踏み込めば踏み込むほど湧き上がってくるようなトルクの波は、力強さと躍動感に溢れている。

これに組み合わせられるトランスミッションが、旧式IS Fより引き継いだ8速のスピードダイレクトシフトだ。オートマチックトランスミッションとは思えないタイトなダイレクト感が特徴であり、驚くほどにシフトチェンジをスムーズに行ってくれる。

レクサスはブランド立ち上げ当初より、走りの奥深さを追求している。ドライバーの意のままに操ることができるメカニズムのレスポンスは元より、車内の演出も忘れない。

デザインコンセプトは従来型よりキープだが、ダッシュボード中央に配置されるディスプレイはワイド化し、操作性を向上。レーザーカット本杢やFスポーツ専用のダークグレーヘアラインといったラインナップのオーナメントパネルや新設定の内装色により、質感も高められている。

横並びで進歩し続けてきたGSの生産終了が発表されている現在、レクサスブランドにおけるスポーティセダンの屋台骨となるのがIS 350だ。高級車やスポーツカーは、ことごとく大きく無ければならないはずはない。IS 350からは、レクサスのそうした覚悟を感じる。コンパクトでもプレミアムなスポーツカー。IS350は、そんな上質さを感じることができる数少ないモデルだろう。

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