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【BMW X7 M50i】送り出した陸上の豪華客船、この上ない贅沢が詰まっている

2019年、BMWのSUVシリーズにフラッグシップとなるX7が登場した。同ブランドでも初となるフルサイズSUVは、BMWならではのスポーティさとラグジュアリーさを兼ね備えている。歴代でも最大級を誇るサイズもあいまって、走る姿は、まさに豪華なクルーズ船だ。

満を持して登場した、SUVモデル・Xシリーズの真打

1995年BMWは、X5を手土産にして加熱途中にあったSUV市場に乗り込んだ。それからというもの、BMW内部ではSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)と呼称するジャンルにおいて、一回り小さいX3やX1に続き、X6、X4を次々と世に送り出す。

しかしながら、そのラインナップにはどこか物足りなさがあったのも事実だろう。その違和感の正体が、2017年に開催されたフランクフルトモーターショーで明らかになる。

このショーにBMWが出展したのは、コンセプトX7 iパフォーマンス。BMWのSUVファミリー・Xシリーズの頂点に立つフラッグシップモデルの「雛形」だったのだ。このコンセプトモデルを目の当たりにして、ようやく合点がいった。そう、BWMのSUVには将棋でいうところの「王将」、チェスでいうところの「キング」が足りなかったのである。

その翌年、X7は完全な姿となって発表される。新型X7は、BMWが誇る本格SUVとしての性能とラグジュアリーな世界観を両立させた、Xシリーズの旗艦モデルとして表舞台に降り立った。

同郷のジャーマンスリー、メルセデスがGLS、アウディにはQ7がある。さらに、ベントレーにもベンティガ、ボルボはXC90と、あらゆるメーカーがニューモデルを投入しているLLサイズSUV市場。そこにBMWはようやく、フルサイズSUV・X7で名乗りを挙げたのである。日本導入によって、既存の4グレードに加え日本向けのxDrive35dとM50iが導入。M50iは、V8のターボエンジンを搭載するトップグレードだ。これにより、X7はラインナップも完璧なものとなった。

通常モデルとは一線を隠す装備とメカニズム

X7は、セダンのフラッグシップである7と双璧をなすモデルだ。なら、ハイパフォーマンスモデル・M50iが登場することも自然な流れだったのだろう。堂々たる全長5,151mm×全幅2,000mm×全高1,805mmという巨艦とも呼ぶべき堂々たる体躯はそのままに、トップグレード「M」であることを主張する装備が与えられている。

見た目の疾走感だけではなく、機能性をプラスするエアインテークが追加されたフロントバンパーと、ドア下部のサイドシルは専用デザインだ。さらに、インディビデュアルの高光沢シャドーラインを始め、純銀のように輝くセリウムグレー仕上げの大型キドニーグリル。ドアミラーカバーとエアブリーザーによって、スポーティさは他のグレードと比べるまでもない。

また、エアロダイナミクスを最大限引き上げるディフューザーを備えたリアバンパーもリデザインされている。バンパー一体型となっているマフラーカッターは、ダミーではない。コストカットなのか見た目重視なのかは分からないが、バンパー一体型マフラーをダミーにしているモデルもある。どのモデルとは言わないし、どのメーカーとも言わないが、BMW X7 M50iにおいて”ニセモノ”はあり得ないのだ。

目を見張るほどのパフォーマンス。BMWの「M」は伊達ではない

「M」を名乗っている以上、ただ身体が大きいだけの鈍ガメであってはいけない。BMW X7 M50iは、動力性能も超一流だ。搭載されるエンジンは、最大出力530PS、最大トルク76.3kgmを発生させるガソリンモデルの4.4L V型8気筒ツインターボエンジンだ。 

このエンジンは現行型8シリーズに搭載されているエンジンと同様のユニット。最先端のテクノロジーを採用したMツインパワーターボやクランクケース・ピストン・シャフトを備え、角度を付けたV型バンク配置のターボチャージャーを内蔵する。アクセルを踏み込めば、0-100km/h加速は4.7秒という俊足っぷりを披露してくれる。

これに8速のトルコン式トランスミッション・ステップトロニックを搭載し、ステアリングのパドルシフトで自在なギアチェンジを可能にした。ギアチェンジの質感は、まさに絹のように滑らかだ。段階的にエンジンに満ちていくパワーに合わせて、マフラーが心地よい低音エグゾーストを響かせてくれる。

走りの質感は、足元から向上させられている。BMWのMが専用にチューニングしたサスペンションは、フロント/リアのアクスルをエンジン特性に合わせて最適化。オプションにて21インチアルミホイールを22インチホイールにチェンジできるほか、「M」のロゴが刻印されたスポーツブレーキシステムを装備することもできる。

X7 M50iを見ていると、SUVに対する固定観念がガラリと覆される。どのメーカーのSUVとも違うBMW独特の味付けは、BMWが「SUV」ではなく「SAV」と呼ぶのにも納得がいくだろう。新車販売価格は税込みで1603万円。それなりの価格だが、機会があれば是非BMWのX7 M50iだけが作り出せる世界観に触れてみてほしい。

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