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【CG】FRセダンのベンチマークはいかにして進化したか

BMWの3シリーズといえば、今も昔もスポーツセダンのド本命だ。パワートレーン、プロポーション、パッケージング、すべてがBMWの信念である「駆け抜ける歓び」を具現していると言えるだろう。そんな3シリーズは、BMWカラーの代名詞であるアルピンホワイトをはじめとして、12色のエクステリアカラーを用意している。ぜひ、お気に入りの一色を見つけてほしい。

覚悟の”全幅1800mm超え”

今の若いオーナーは、BMW 3シリーズが「六本木のカローラ」と呼ばれた時代があったことを知らないかもしれない。世代で言えば2代目、形式でいえばE30型と呼ばれた 3シリーズは、日本がバブルに沸いた1986年から1994年当時の東京では余りにも数が多かったため、赤坂のサニーと呼ばれたメルセデスのW201系とともに揶揄されていた時代があったのである。

そんな3シリーズも現在ではG20系となり、すでにシリーズ7代目を数える。BMWのラインナップの中では最も販売されるモデルとしてブランドをけん引する存在であり、それ以上に、Dセグメントセダンのベンチマークとカテゴリーそのものを代表する存在となっている。

現行型となるG20型は、2019年からデリバリーが開始されている。基本的にはキープコンセプトを貫いてきたこれまでのシリーズ同様、エクステリア/インテリアに大きな変更はないように感じるが、それは3シリーズの完成度の高さを物語っていることにほかならないだろう。言い換えれば、新しくなった3シリーズというより、現代風になった初代E21型と呼んでもいいかも知れない。

そんなG20型デビュー最大のトピックスと言えば、これまで日本市場向けモデルでは頑なに全幅1800mm以内を堅持していた3シリーズが、ついに全幅を1825mmに拡大してきたことだろう。

幹線道路であっても道幅が充分確保されているとはいいがたい日本にとって、1800mmはひとつのボーダーラインだ。これを超えてしまうと、道を選んで走らなければならなくなってしまううえ、駐車場の選択肢はかなり狭まってしまうことになる。それだけに日本人は「全幅1800mm」に頑固とも言えるほど強いこだわりがある。しかし3シリーズは、ついにその1800mmの呪縛から解き放たれた。ある意味で日本市場が「割を食った」形になるが、安全性や運動性能の進化を考えると、決してデメリットばかりではないだろう。

クリーンディーゼルも魅力のひとつに

BMW 3シリーズの魅力と言えばもうひとつ、成熟したエンジンにあるだろう。ガソリンエンジンはもちろんとして、近年ではクリーンディーゼルエンジンにも定評がある。

BMWが造る2.0L 直列4気筒ディーゼルターボエンジンは、6代目モデルに搭載された時点で最高出力190PS、最大トルク400Nmを発生するに至っていた。この数値は、ガソリンエンジンモデルのベーシックグレードを上まわるばかりか、アッパーグレードの330iと同等の出力だった。今回、7代目になるにあたり、BMWはこのディーゼルエンジンに磨きをかけてきたのである。

これまでのBMWが作り出すディーゼルターボエンジンは、レスポンスも鋭いスポーティな味付けがなされていたことは間違いないが、高回転域の伸びと気持ちよさが今ひとつガソリンエンジンに及ばない部分だった。

しかし、BMWはこれをターボユニットの改良により払拭して見せた。シングルタービンをシーケンシャル式に変更。2つのタービンの内、1つは低~中回転域を担う可変ジオメトリタービンを採用した。このメカニズムにより、ディーゼルターボエンジンは低~高回転域まで「詰まり」を感じさせずに拭け上がる。

“BMW”は「バイエルンのエンジン工場を表す」ドイツ語”Bayerische Motoren Werke GmbH(バイエリッシェ・モトーレン・ヴェルケ)”の頭文字を取ったものだ。

往年の名エンジンとして名高い直列6気筒のシルキーシックスもいいが、ダウンサイジングされたツインターボエンジンもあなどってはいけない。

BMWの3シリーズは、ただなんとなく理由もなしに四世紀半以上もセダンのベンチマークとして君臨しているわけではない。FRレイアウトへのこだわりと50:50という理想的な前後重量配分。セダン、ワゴン、そしてMスポーツとバリエーション豊富ながら、そのすべてでBMWがいうところの「駆け抜ける歓び」をユーザーが体験できるところに魅力があるのだ。

3シリーズには、40年を超える歴史がある。だが、今もなお進化を続けている。初代モデルが発売された時、後々ディーゼルのツインターボエンジンが搭載されるなど誰が予想しただろうか。3シリーズは、常に最先端を走るモデルであり続けてくれるだろう。

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