ほうとうと並ぶ山梨県の郷土料理といえば、なんといっても鳥もつ煮だろう。特に、甲府エリアで食べられる鳥もつ煮は、関西人が思い浮かべる「もつ煮」とは全く異なるものだ。
牛や豚のホルモンを用いるもつ煮とは違い、汁気はほぼない。鶏のホルモンを甘辛濃厚ダレで煮詰めて作るため、照り焼きのような茶褐色の見た目になる。
砂肝の歯ざわりにとろけるようなレバー、弾けるようなキンカンに醤油の濃ゆい味が加わり、ご飯を食べる手が止まらなくなるだろう。
中央自動車道甲府昭和出口より、車でおよそ10分。『奥藤本店』は、鳥もつ煮の元祖として有名な店舗だ。創業は大正2年。鳥もつ煮が考案されたのは、戦後間もない昭和25年頃だったと言われている。当時は砂糖が大変貴重な品だったため、甘辛いタレ使った鳥もつ煮は大好評を博す。瞬く間に、山梨県内に広まったという。
また、ここでは鳥もつ煮ももちろん絶品であるが、甲州手打ち蕎麦も忘れてはいけない。
国産のそば粉と、富士の湧き水を用いて打った手打ち蕎麦は香り高く、生わさびをおろして一緒にすすると、より一層キレのある風味が鼻から抜けていく。
伝統の鳥もつ煮とこだわりの手打ち蕎麦。どちらも捨てがたい1品だ。