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【フォルクスワーゲン ID.4】電動SUVが追加、キーワードは「コンパクト」だ

2020年、現地時間9月23日。フォルクスワーゲンより、初の電動SUVであるID.4が発表された。トレンドであるSUVカテゴリのEVといえば、いずれも高級モデルばかりであったが、ID.4はアウディのe-tronやテスラのModel Xと比較すれば、コンパクトかつリーズナブルなモデルとなる。販売価格は日本円でおよそ420万円~となる見込みだ。

加速する電動化の背景

フォルクスワーゲンの「ID」はシリーズモノだ。今回発表されたID.4に先駆けて、本国では既にハッチバックモデルのID.3の販売が開始されている。これらIDシリーズには、フォルクスワーゲンがMEBと名づけたバッテリーで駆動するEVのためのプラットフォームが採用されており、ID.4はそのMEB採用の第二段にあたる。

フォルクスワーゲンだけが電動化に積極的、というワケではない。現状、欧州は自動車の排ガスを“忌み嫌っている”背景がある。

2050年までに、CO2の排出量を現在の55%にまで引き下げる方針を明確にした。これまでは、40%に留めていたのだから、その上げ幅には目を見張るものがある。

VWのお膝元であるドイツではマンションの住民から充電スポットの設置が求められた場合、設置する義務を負う法令が可決されるというし、アジアでも中国においては国策として、EVの普及を推し進めている。環境問題が声高に叫ばれている現状、こうした動きは仕方ないがなんとなく寂しい気持ちにもなる、とにかくフォルクスワーゲンもさまざまな機関から“目を付けられない”ように動かざるを得なくなった。

そうして生み出されたプロダクトシリーズが「ID」なのである。

フォルクスワーゲン ID.4

ありそうでなかった絶妙なサイズ感

さて、冒頭でID.4をコンパクトなモデルだといった。

見てみると、ボディの3サイズは全長4584mm×全高1852mm×全幅1612mmである。同社のSUVラインナップと比べてみると、トゥアレグが全長4880mm×全幅1985mm×全高1730mm、ティグアンが全長4500mm×全幅1840-1860mm×全高1675mmだ。いずれと比較しても、2まわりから1まわりは引き締められていることが分かる。

ID.3がT-ロックとほぼ同格の全長4261mm×全幅1809mm×全高1552mmだったので、サイズ的に、ID.4はトゥアレグよりも小さく、ID.3よりも大きい中層を埋めるサイズ感だ。

ここで重要なのが、最小回転半径だ。

街中での取り回しの良さは、そのほとんどがここで決まるといっても良い。これが小さければ小さいほど、車は良く曲がってくれる。乱暴にいえば、Uターンがしやすい。

ID.4の最小回転半径は5.1m。これは、VWラインナップでもかなり優れた数字である。

最もコンパクトだと言われているAセグのup!(最小回転半径4.9m)にも比肩する数値だ。

もし、ID.4が日本導入される時がきたら、大きなセールスポイントになるに違いない。

フォルクスワーゲン ID.4

520kmの航行が可能なバッテリーを搭載

パワートレーンについては、ID.3を同様のシステムを搭載する。FR方式となり、最高出力204PS/最大トルク310Nmだ。

同じ仕様で輸入されることになるかは未知数であるが、欧州でのスペックは最高速後160km/hで、100km/hまでの到達時間は8.5秒。

発表によれば、今後フロント/リアにモーターを配置したツインモーターのモデルも登場する予定だという。

そうすれば、更なるスペックアップが期待される。

採用されているのはリチウムイオンバッテリーで、容量は77kWh。一度の満充電で520kmの航行を可能にする。

直流の急速充電ステーションにて、30分充電することで320kmの走行が可能だ。

このバッテリーは、合計12個のモジュールにて構成されており、日産のアリアと同じく水冷方式を採用した。効率に優れる冷却方式により、バッテリーの劣化自体も低減されている。

フォルクスワーゲンによれば、8年間ID.4に乗っても、バッテリーの容量劣化を30%程度に抑えることに成功したという。

フォルクスワーゲン ID.4

※ ※ ※

ID.4は、まず2グレードでの販売が開始される。

市場に投入されるのは2021年初頭だ。

2021年と言えば、日本のメーカーやそれ以外でもEVの販売が見込まれている年である。トヨタのMIRAIも、その中の一つだ。既に、日本は電動モデルを受け入れる土台が完成しつつある。

ID.4もきっと、日本市場で受け入れられるモデルとなることだろう。

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