ダイムラーは現地時間9月2日、新型となった『Sクラス』をワールドプレミアした。このフルモデルチェンジは7年ぶりである。Sクラスは、世界中のメーカーにとってもサルーンのスタンダードだ。新世代となっても、その指標はしっかりと受け継がれている。
他のモデルを過去のモノにしかねない先端技術の数々
1972年に初代モデルがデビューしたSクラス。メルセデス・ベンツが誇る最上級ラグジュアリ―サルーンとして君臨し続けるこのモデルだ。
ボディの3サイズは、全長5179mm(ロングは5289mm)×全幅1954mm×全高1503mm。ホイールベースを3106mm(3216mm)と、先代モデルより1周り拡大した。
快適さが増した車内だが、同時にインテリアも全く新しいモノになっている。デザインとUIを刷新し、インフォメインメントや操作に関連する機能を搭載した5枚のディスプレイを採用。これにはメータークラスターも含まれており、インストルメントパネルに割り振られた中央のパネルには対角12.8インチの有機ELが採用された。このディスプレイは先代と比較すると64%も大きくなっているという。
さらに、最新鋭の機能としてドライバーディスプレイに3Dディスプレイを初めて採用。ドライバーに必要な情報を、3次元の映像で表示してくれる。ヘッドアップディスプレイには拡張現実を用いたAR技術も取り入れた。
また、“対話するメルセデス”こと、MBUXの機能も更に高度化。ドライバーが向いている方向や身振り手振りで機能を作動させられるMBUXインテリア・アシストも搭載される。これらの新技術により、メルセデスは「高級車」の定義を新たなものにするという。
デザインも全て最新に
今回のフルモデルチェンジにあたり、Sクラスはメルセデスが掲げる最新のデザインフィロソフィーを全身で表現した。
昨今のメルセデス・デザインらしくフロントエンドは切り立つように直立。ボンネットは長大なものの、ショートオーバーハングとしているため操縦性は良好だ。ここにアイコンであるスリー・ポインテッド・スターを取り付け、くっきりとした石膏彫刻のようなショルダーラインからCピラーまで流れるようなデザインを採用している。
フロントマスクでは、大型化したフロントグリルが特徴だ。これに先進運転支援システムに必要となるセンサーやカメラ類を入れ込んでいる。大きくなったグリルとは対照的にヘッドランプはシャープな造形とした。内部にはデイタイムランニングライトを3つ配置し、マルチビームLEDヘッドランプを標準で装備する。これにはオプションとして青く発光するデジタルライトが用意された。
ボディサイドに入れられていたキャラクターラインはかなり減らされている。しかしながら、光の当たり方にまで拘った表面処理でメルセデスがいうところの「センシュアルピュリティ」を表したという。
PHEVの追加も待たれるパワートレーン
パワートレーンでは、3.0L 直列6気筒のガソリンターボと3.0L 直列6気筒のディーゼルターボを用意する。パワーの違いによって、ガソリンエンジン搭載グレードのS450/S500とディーゼルエンジンを搭載するS350d/S400dを揃えた。これらのエンジンに、9速のオートマチックトランスミッションを組み合わせた。さらに、4WDをベースとして、ディーゼルモデルのS350dにのみFRが設定される。
また、内燃機関搭載モデルだけではなく、48Vマイルドハイブリッド採用のV型8気筒エンジン搭載モデルの追加も予定されているという。近年の電動化の波に乗り、来年にはEV走行で100km走ることができるPHEVモデルも控えている。
* * *
これまでのメルセデスの歴史の中で、最も多彩な先端技術を搭載して生まれてくることになる新型Sクラス。今回のモデルチェンジで採用された快適装備や新しいテクノジーは、枚挙にいとまがない。伝統と風格を感じさせるデザインは、国産のセダンとは一線を画している。フラッグシップであるSクラスは、成功者のシンボル。ゆくゆくは電動モデルも追加されるということで、一分の隙もないのではないだろうか。