キャデラックが、2020年4月19日に開催されたニューヨークモーターショーにて、コンパクトセダン・CT5を世界に披露した。このモデルは、現行CTSの後継モデルとなる。スペック等は公開されているものの、価格など詳細は不明だ。用意されるボディカラーもまたしかり。発売日までの期間、首を長くして待っているユーザーの鬱憤を晴らすことができれば幸いである。
アメリカの魂・キャデラックが送り出す、新たなコンパクトセダン
キャデラックといえば、アメリカに本拠地を置くカーメーカーの中でも最大規模を誇るGMの高級車ブランドだ。
しかし、ブランド力の高さだけでなく、先進的な技術力においてもキャデラックが築き上げてきた功績は計り知れない。オープンボディが主流だった1910年代に、いち早くクローズドボディを採用したり、セルフスターターを発明。オートマチックトランスミッションやパワーステアリングといった、現在当たり前のように車に搭載されている機能を生み出したのがキャデラックなのだ。
「アメリカでトップのメーカーなら、実質世界一といってもよい」新型CT5は、そんなキャデラックの自信に満ち溢れているモデルだ。ラインナップの中でも、ミドルクラスセダンの中核として君臨していたCTSの後継モデルとしてデビューする。車名が数字を用いたものに変わったのは、キャデラックの販売戦略のためだ。CTSがCT5へ変わったように、コンパクトセダン・ATSもCT4へと名称が変更されている。CT4が、メルセデスのAクラスセダンやBMWの2シリーズを競合とするが、今回の新型CT5は、Eクラスやアウディ・A6、BMW 5シリーズをライバルとしている。
新型プラットフォームの採用で実現した夢の半自動運転システム
キャデラックの社長、スティーブ・カーライル氏はCT5を「キャデラック独自の優れた専門性を体現するモデル」だと語っている。それを実現したのが、キャデラックが2019年末より生産を開始し、順次導入を開始すると発表した新世代電子プラットフォーム・アルファプラットフォームだ。
CT5には、アルファ・プラットフォームの採用により実現した世界初の技術である半自動運転高速道路運転支援システム「スーパークルーズ」が搭載されている。
自動運転システムは、日本でも開発競争が激化している分野だ。日産はいち早くプロパイロットの搭載に乗り出したし、ホンダも2020年中ごろには自動運転システムを搭載したモデルを発表するとしている。この自動運転システムにはレベルがある。段階的に1~5まで設定されており、要は”どれだけ人の手を必要とするか”によりレベル分けされている。
例えば、レベル3では車線の中央維持し、前走車との車間距離保持に加え、車線変更も加わる。基本的には高速道路の自動走行を可能にする。CT5に採用されているスーパークルーズも、恐らくレベル3~4の自動運転を可能にしてくれるだろう。運転自体が完全に人の手を離れたとは言い難いが、アルファ・プラットフォームはソフトレベルでアップデートを繰り返すことが可能だ。遠くない将来、スマートフォンを操作しながらCT5を走らせることができるようになるかもしれない。
コンセプトカー・エスカーラから受け継がれたデザインフィロソフィー
CT5は、コンパクトセダンを謳ってはいるものの、キャデラックらしい大柄なボディを備えている。ボディサイズは、全長4,924mm×全幅1,883mm×全高1.452mmだ。ホイールベースは2.947mmとなっている。欧州車によく見られるルーフ頂点からリアに向けて滑らかに傾斜していくファストバックスタイルだ。往年の自動車ファンにはロングノーズ・ショートデッキと言い換えたほうが分かりやすいかもしれない。
エクステリアは、デザインを刷新した現行型CT6に続いて、2019年に公開されたコンセプトカー・エスカーラを踏襲している。個性的な縦長のデイタイムランニングライトや、スポーティな大型グリルを持つフロントフェイスにより、キャデラックデザインが次の世代に移ったことを実感させてくれる。
また、CT5に用意されるパワートレーンは2種類だ。最高出力237PS、最大トルク350Nmを発生させる2.0L 直列4気筒ツインスクロールターボと、最大出力335PS、最大トルク400Nmを生み出す3.0L V型6気筒ツインターボとなっている。共に、10速オートマチックトランスミッションが組み合わされ、FRもしくはAWDが設定される。
日本での販売価格は未定だが、フラッグシップモデルのCT6が税込1045万円、先代モデルにあたるCTSが現在734万2500円~となっているため、ほぼ同額か少し高くなってのデリバリーされると予想される。メーカー公式からの続報を待ちたい。