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【マセラティ クアトロポルテ】イタリアの伊達オトコ、色気と魅力

イタリアには多くの名門スポーツカーメーカーがある。その中の一つがマセラティであり、そのフラッグシップモデルがクアトロポルテだ。クアトロポルテには、トライコート・マイカ・メタリック・メタルシェル・ソリッドという6パターン11種類のエクステリアカラーが用意されている。

どこまでもマセラティ的なイタリアの表現

スポーツカーのメッカ・イタリアのモデナに、創業100年を超える高級スポーツカーメーカーがある。1914年に産声を上げたそのメーカーの名前は――マセラティだ。

手がけるモデルは流麗で独特な線を描くデザインだが、いずれも圧倒的な走行性能を見せつけるハイパフォーマンスカー揃い。そんなマセラティのフラッグシップと聞けば、どのようなモデルを想像するだろう。2ドアクーペ? オープントップ? いいセンはいっているが、どれもニアピンだ。マセラティのフラッグシップモデルは、4ドアのセダン。イタリア語で「四枚ドア」を表す名前が与えられたマセラティ・クアトロポルテだ。

初代クアトロポルテがデビューしたのは、1963年。それから時が流れ、様々な改良を受けたクアトロポルテの現行モデルは、2013年に開催されたデトロイトモーターショーで発表された6代目となる。

しかし、いつの時代もクアトロポルテは、欧州メーカーが肩で風を切って歩いているLセグメントのサルーン市場において、一目置かれる存在だ。イタリアン・サルーンの最後の砦と呼んでも過言ではないかもしれない。猛禽類のようにしなやかなスタイリング、グリル中央に堂々と配置されたトライデント、フェンダーに刻まれる特徴的な3連ダクトは、マセラティが誇りとする「イタリアの魂」に触れる喜びを予感させてくれるだろう。

サルーンでもありスポーツカーでもある。本当の姿はどちら?

クアトロポルテに搭載されているエンジンは、全てモデナ製。つまり、フェラーリと同じエンジンを搭載していることになる。このエンジンこそ、マセラティをマセラティたらしめる最大の要素なのである。クアトロポルテに搭載されるのは、V型6気筒DOHCツインターボエンジンもしくは、V型8気筒DOHCツインターボエンジンだ。

スタンダードなクアトロポルテは、最高出力350PS、最大トルク500Nmなのに対し、グレード SとS Q4は2018年に行われたアップデートにより、最高出力430PS、最大トルク580Nmを発揮する。

残念ながら、クアトロポルテのラインナップでも最強の最高出力530PS、最大トルク710Nmを発生させるV型8気筒ツインターボエンジンを搭載するGTSは受注を終了しているため、その別次元のパフォーマンスを新車で体感することは難しい。

だが、マセラティの走りの真髄はダウンサイジングされたV6エンジンでも充分過ぎるほど味わうことができる。

近年、マセラティはアジリティとスタビリティを高めつつ、量販車として万人に扱いやすくなるような絶妙なシャシーチューニングに力を入れてきた。

クアトロポルテにおいてもそれは顕著であり、「高級スポーツカー」と「高級サルーン」、2つの顔の折り合いの付け方が余りにもうまい。ゲストをリアシートに乗せて、街中を滑るような快適な走りを見せたかと思えば、一度アクセルを踏み込めばエグゾーストは唸りをあげ、スペック通りの性能を発揮するエンジンが牙をむく。ベースでも最高時速270km/Lを叩き出すクアトロポルテは、羊の皮を被ったオオカミだ。

クアトロポルテ、そのネーミングに偽りなし

クアトロ(4つの)ポルテ(扉)の名前が与えられたサルーンなのだから、当然リアシートまで含めた車内の快適性は確保されていなければならない。リアシートが快適でなければ、4ドアセダンであるクアトロポルテをわざわざ選ぶ必要はないからだ。

クアトロポルテは、全長5,270mm×全幅1,950mm×全高1,470mm、ホイールベース3,170mmという巨躯の持ち主だ。このサイズは、メルセデスのSクラス ロングと比べても一回り大きい数字。このボディサイズの大型化は、決して”肥大化”ではないことを前置きしておこう。この大型化は、クアトロポルテの居住性と積載能力が大幅に向上したことを示している。6:4分割可倒式のリアシートの恩恵もあり、ラゲッジ容量は530Lを確保。先代に比べ、11Cmほども延長されたホイールベースのお陰で、後席レッグスペースも100mm以上プラスされている。手足の長いイタリア人が足を組んで広々座れるのだから、日本人には広すぎる位かもしれない。

また、モダンさを感じさせるインテリアの質感は、イタリア製の最高級スーツのように隙がない仕立てだ。ドアを開ければ、マセラティだからこそできる、作り手の拘りが見える空間が広がっている。さらに、ストップ&ゴー機能搭載アダプティブクルーズコントロールを始めとする先進の安全装備も、フラッグシップとしてクアトロポルテが誇る部分だろう。エクステリア以上に、インテリアにはマセラティが大事にしているモノが良く表現されている。

クアトロポルテに乗る――ということは、100年を超えたマセラティのブランドを味わうということだ。4ドアスーパーカーの元祖、クアトロポルテが醸し出すイタリア流ダンディズムは、ヒトを酔わせる不思議な魔力がある。

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