札樽自動車道朝里ICより、車でおよそ5分。石狩湾を見下ろして、平磯岬の高台に建つ『銀鱗荘』。小樽でも屈指の名観を誇る場所から、海と空、小樽の街並みを一望できる。
小樽市の指定歴史的建造物にも指定された宿は、積丹半島の千石漁場にて栄えた鰊漁の大網元の屋敷を移築したもの。およそ150年に渡って風雨を耐えてきたその姿は、豪壮かつ優美な佇まいだ。
「北の迎賓館」と異名を取る館内には、全部で17の客室を備えている。現存する鰊御殿に宿泊できるというだけでも貴重な体験であるが、壮大な眺めと函館本線が奏でる汽笛の音色やウミネコの鳴き声が旅情をかきたててくれる。
特に、本館特別室である「高砂」は銀鱗荘の魅力が全て詰まった部屋だ。日本の伝統的な建築美と、2間続きの広縁より石狩湾と小樽の景色が美しく伸びる。
食事は北の大地北海道で、食材の宝庫と呼ばれる小樽の美食が並ぶ。魚介を始めとする新鮮な美味を、会席料理とフランス料理に仕立てる。さらに、鰊漁で栄えた小樽の地魚や北海道近海の魚を使った寿司懐石も絶品だ。
自家源泉を保有する温泉もまた、銀鱗荘の自慢だ。地下1300メートルより湧出する平磯温泉は、ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉で効能にも恵まれた湯だ。この湯を。100坪の広さを誇る露天や大浴場に滔々と注ぐ。港町小樽ならではの情緒を感じつつ、湯けむりに包まれる。