富山県のグルメを語る上で、どうしても外せないのが富山ブラックラーメンであろう。その名前の通り、真っ黒なスープが凄まじいインパクトを放つこのラーメン。スープの色は濃くても、味は案外アッサリ……というラーメンも多いが、富山のブラックラーメンは見た目通りの強烈な濃さが魅力だ。
この濃さは、1955年ごろに起きた富山大空襲の復興を行っていた肉体労働者のために考案されたという背景があり、ご飯を店に持ち込んでラーメンをおかずにして食べるというスタイルからきたものだという。
この個性的な富山ブラックラーメンを生み出したのが、昭和22年創業の『大喜』である。安房峠道路平湯ICより、国道471号線へ。富山市内、西町まで一般道を走ることおよそ2時間。創業当時から変わらない外観の建物の暖簾を潜ると、左右にカウンター席が並ぶ。看板メニューはやはり「中華そば」だ。富山ブラックとは、この中華そばが真っ黒だったことからお客が呼び出した所謂総称である。
トッピングされる具材はチャーシューにメンマ、刻みネギをベースに、たっぷりのブラックペッパーが振りかけられる。スープをほどよく吸い込んだ中太麺を持ち上げると、茶色に変化した麺に驚かされるだろう。
スープは見た目通りのハードパンチャーで、ライスと交互に食べなければノックアウトされてしまいそうなインパクトだ。味をまろやかにしたいのなら、生卵の追加オーダーもおすすめ。当時から変わらない富山の味を1度は味わってみてほしい。