米・フォードがラインナップするピックアップトラックF-150に新しく2021年型『F-150 Tremor』が追加された。オフロード性能をさらに高めた多くの装備と、専用のセッティングが施されるF-150 Tremorは、2021年夏頃の登場を予告されている。
ラインナップの拡充を図るフォードトラック
フォードのFシリーズといえば、1948年のデビュー以来ピックアップトラックの代名詞、アメリカン・タフガイの象徴として愛され続けているベストかつロングセラーモデルの1台である。
シリーズ通算ではすでに14代目を数え、最新型へモデルチェンジされたのは2020年6月のこと。これまでで最も高い信頼性と生産性を掲げてデビューしたF-150は、高強度アルミニウム合金製のボディに、高強度スチールフレームを採用。
エクステリアデザインには先代の面影はほとんど残されておらず、大胆さは残しつつ刷新された。パワートレーンにも、新しい3.5Lのパワーブーストハイブリッドパワートレーンを搭載するなど、テクノロジー面でも大幅なアップデートを受けたモデルとなった。
新しいF-150 Tremorは、F-150のラインナップを拡大するものだ。フォードのラインナップでいえば、FX4オフロードパッケージとラプターの中間として位置づけられる。
最高出力400psのV6エンジンを搭載
F-150 Tremorには、フォード製3.5LのエコブーストV型6気筒エンジンが搭載される。最高出力400PS/最大トルク500 lb-ftを発揮。これに、10速のオートマチックトランスミッションを組み合わせた。
5.5フィート(およそ170センチ)に達する荷台を備え、ここに最大1,885ポンド(およそ860キロ)までの積載を可能にする。最大牽引能力は、10,900ポンド。なんと、約5トンもの荷物を引っ張って進むことができるのである。
とはいえ、F-150ファンの間では「ヘルキャットエンジン」と呼ばれるスーパーチャージャー付きV型8気筒エンジンを搭載し、最高出力702馬力を発生するラムの1500 TRXと比肩するハイパフォーマンスなピックアップトラックの登場を望む声も少なくないようだ。
販売価格が1,000万にもなるプレミアムピックアップトラックの需要は、確かに存在する。ラム 1500 TRXのローンチエディションに限って言えば、販売開始より3時間で限定702台全てに買い手が付いたほど。
果たして、そのようなスペックを発揮するピックアップトラックがどのような場面で活躍するのか想像するのも一苦労であるが、F-150のラプターが2021年モデルになる際には、大幅なパワーアップが図られるのかもしれない。
悪路走破性もクラストップ
悪路走破性もより向上させるため、新型F-150 Tremorのサスペンションには新設計のショックを備えた足回りが装備されている。
ベースモデルと比較して、最低地上高もフロントで約3センチ、リアで約3.5センチ高くなっている。F-150ラプターより引き継いだ4WD用トランスファーケースを備え、ギアチェンジをスムーズにするだけでなく、走行モードに応じた最適なギアを選択してくれる。
さらに、ホイールにはマットカラーに仕上げた18インチのアルミホイールを装着。そのホイールに、ゼネラルの33インチグラバーオールテレーンタイヤを組んだ。
これにより、F-150 Tremorは27.6度のアプローチアングル、21.2度のブレークオーバーアングル、24.3度の出発角度を獲得している。
同じフォードのブロンコが最低地上高約30cmを誇り、最大29度のブレークオーバー角度、37.2度の出発角度持っていることと比較すれば驚くべき数字では無いように思えるが、こちらはあくまでも車体の長いピックアップトラックで、あちらは2ドアモデルも存在するコンパクトSUVである。F-150 Tremorがピックアップトラックカテゴリにおいてはトップクラスの悪路走破性を持っていることはゆるぎない。
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F-150 Tremorの“Tremor”とは、直訳すれば「震え」や「身震い」となる。より日本風に訳すとすれば「武者震い」であろうか。運転していて楽しい車は、ステアリングを握っただけで身震いしてしまう。F-150 Tremorもきっとそんな1台なのだろう。
F-150 Tremorの販売開始は、2021年の夏。価格はまだ未定であるが、それまで身震いを抑えて待つこことしよう。