ダチアのローコストモデル、ロガンが第三世代へアップデートされた。2004年より販売を開始したロガンは、先進国を含めて高いコストパフォーマンスで人気を獲得する1台となっていた。今回のモデルチェンジは、ロガンを全く新しいモデルとするべく先進的な改善が施されている。その内容を見ていこう。
新たなデザインフィロソフィーを採用したエクステリア
一目みて気が付く。ロガンが新しくなったと。それは、目に飛び込んでくるエクステリアデザインが、ダチアの新しいデザインフィロソフィーを用いて造形されているためだ。
低コストモデルだからといって、意思を持たぬ機械のような外観をしている必要はない。ニューロガンでは、より感情的な空気を伝えるようなキャラクターが与えられている。フロント・サイド・リアに施された彫りの深いキャラクターラインは、流動的で力強い。キャラクターラインを極限までなくすようなモデルも増えてきている中、今回のロガンに採用されたデザインは一際個性的に映る。
さらにいえば、LEDを採用したヘッドランプや新デザインとなったフロントグリルもロガンが新しくなったことを強くアピールする。ヘッドランプのY字LEDデザインやテールからなだらかな曲線を描いて、リアで切って落とすラインは特徴的だ。
コネクティビティとインフォテインメントシステムも先進化
ドアを開けるだけでも、ロガンが新しい先進的な技術を搭載したことがすぐ理解できる。コネクティビティが強化され、3種類のインフォテインメントシステムが利用できるようになった。
メインとなるのは、8インチのタッチスクリーン。ここでは、多くのサービスとツールを管理し、好きな時に起動することができる。
メータークラスターは、フルデジタル化とはいかなかったものの、運転中に必要となる情報を表示する新開発のTFT液晶画面を搭載する。視認性も向上したこの画面は、無駄がなくシンプルで、一度に多くの情報を表示することが可能だという。
また、今回のアップデートにより電動パーキングブレーキ、リアビューカメラといった技術も新たに採用されている。
家族で使いやすい大容量トランク
2021年型になるに伴って、大容量のトランクを備えていたロガンMVCはカタログから姿を消すこととなった。同ブランドのサンデロ ステップウェイに、そちらは任せた格好である。
ダチアのロガンは、ローコストなファミリーセダンとして人気に火が付いたモデルだ。MVCとステップウェイ――家族内で、客を取り合うのはよろしくないという判断だったのだろう。
しかしながら、ファミリーカーである以上それなりの積載性は確保しなければならない。子供、荷物すら積み込めないのならそれはファミリーカーとは呼べないからだ。
そこで、新型ロガンは528Lのトランク容量を確保した。従来のモデルに比べ、18L拡大したトランクは普段使いには十分すぎるほどだし、中型セダンにも匹敵する容量だ。さらに、開口部を18mm下げたことで積み下ろしのしやすさも向上している。
トランクのユーティリティを見てみると、スペースを4つに区切ることが可能になった。4つに分けたスペースはサイズの調整が可能で、買い物や旅行などシーンを問わず活躍してくれるだろう。
プラットフォームも最新に
フルモデルチェンジされるにあたり、プラットフォームも刷新された。3代目となったロガンに採用されたのは、CMFプラットフォームと呼ばれるアーキテクチャである。
ちなみにこのプラットフォームは、ロガンだけではなく新しくなったサンデロとサンデロ ステップウェイにも採用されている。
軽量かつ高剛性、環境性能の向上に優れたCMFプラットフォームの特性を活かすため、足回りにも改良が施された。新開発のサスペンションアームおよびフロントアクスルを装備し、高速安定性が向上。ホイールベースが延長し、キャビン内の静粛性と乗り心地もアップしている。
搭載されるパワートレーンは、65hpの1.0Lガソリンエンジンを始めとして、90hpを発生する1.0Lのガソリンターボ、100hpのディーゼルエンジンの3種類である。1.0LのNAには5速のMT、1.0Lターボには6速MTかCVTが組み合わせられる。
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ダチアがロガンで目指すのは、「不必要なものを採用しない」ことだという。それは、間違いなく消費者のニーズを的確に分析した結果であり、新型となったロガンもまた間違いなく一定の人気を獲得することになるだろう。欧州はもちろん、ラテンアメリカを主戦場とするロガン。VWのヴァータス、KIAのリオ、シボレーのオニックス、日産のヴェルサといったライバルがひしめく激戦区で、ロガンは明確なコンセプトを持った魅力的な1台である。