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ボルボ P1800が現代の技術を搭載して『P1800 シアン』としてリバイバル

2020年9月2日、シアンレーシングが『P1800 シアン』を発表した。このP1800 シアンは、ボルボが誇る往年の名車である。今回の発表により、歴史的なモデルが、最新技術を搭載して現代に蘇ることが明らかにされた。

オリジナルモデル・P1800出生の歴史

時は1959年、ボルボは1台の新たな2ドアスポーツモデルの登場を予告した。このモデルこそ本家P1800である。P1800のデザインにはイタリアンテイストが採用され、1961年より生産が始められることになる。

とはいえ、当時のボルボには自社で車を生産する力がなかった。そのため、P1800は始め、英国内で行われることになる。外装はプレストスチール、最終的な組み上げはジェンソンが担当した。その2年後、1963年より組み立てをスウェーデン・イエテボリとルンドビューファクトリーへと移される。

P1800のオリジナルは、ボルボが1956年から生産していた121/122S、通称“ボルボ・アマゾン”のフロアパンをベースとしたモデルであった。ただし、ホイールベースは短くなり、エンジン自体も新開発されて1.8Lの直列4気筒エンジンを搭載。

最初こそ100hpに留められていた出力だったが、段階的に出力は向上していき、最終的に120hpにまで強化されている。1961年~1972年まで生産が続けられたP1800は、合計39414台が市場に出回ることになった。

ボルボ P1800 シアン

P1800 シアンに採用された最新技術と、あえて捨てたもの

今回蘇るP1800 シアンには、現代の技術が数多く採用される。デザインやエンジニアリングこそ1960年代、オリジナルのP1800をベースとしているが、当時の純粋なドライブフィールを再現するために、スタビリティコントロールやABS、ブレーキブースターといったメカニズムは採用されていない。

また、オリジナルと比較してトレッドを拡大。大径のホイールを装着し、ドライバーに地面との接地感を意識させる。

3サイズは全長4,203mm×全幅1,748mm×全高1,220mmである。付け加えると、ホイールベースは2,446mmだ。

P1800 シアンのボディやシャシーに用いられたマテリアルも、当時のそれとは全くことなる素材だ。オリジナルのシャシー構造をリデザインし、三角測量を用いてウィークポイントを悉く潰した。

このシャシーは高強度スチール製とし、乗員を包むボディシェルはカーボンファイバー製だ。高強度スチールとカーボンファイバーの組み合わせは、特に車重の低減に大きな恩恵をもたらす。P1800 シアンの重量は、1tに満たない990kgという驚きの軽さを実現した。

ドリフトもできるスポーツカー

P1800 シアンには、2.0L 直列4気筒ターボエンジンが搭載される。このエンジンは、2017年にWTCRにて世界タイトルに輝いたボルボのS60 TC1に採用されていたユニットをベースとしたものだ。

最高出力420hp/最大トルク46.4kgmを発揮し、レヴリミットは7700rpmに設定。ターボが付けられたこのエンジンは、ターボのパワーに頼って加速する野暮な造りではなく、あくまでも自然吸気エンジンのような滑らかなパワーとトルクが発揮できる、オリジナルのキャラクターを感じられるようなデザインだ。

“当時”の走りを再現するにあたり、数多くのエンジンが候補に挙がったという。

しかし、結局のところVEAが選ばれた。高効率で軽いこのエンジンは2011年に開発され、後にボルボのWTCCタイトル獲得の原動力となったエンジンである。

このエンジンをP1800 シアンに搭載するにあたり専用のチューニングが施され、パワーバンド全体を高出力化し、ピークパワーは遅れてやってくるよう高回転での使用を想定した。このセッティングは、ボルボがレースシーンで培ってきたノウハウを注入したものである。

ボルボ P1800 シアン

* * *

条件付きとはいえ自動運転すら実現し、ニューモデルは次々とエンジンすら捨て去ってEVとなり果てているこの時代。

ただ最新の技術を搭載していたり、内装が豪華だったり、爆発的なエンジン性能を発揮したり……そういったモデルを造るのは簡単だ。しかし、シアンレーシングはそれをしなかった。

P1800 シアンで目指したのは、あくまでも「名車のリバイバル」である。

自動車にとって1960年代は黄金の時代だ。

その時代に生まれた車のコンセプトを大切に守りながら、現代の技術を組み合わせる――こんなに素晴らしいことはない。新しいP1800 シアンの誕生に立ち会える現代人は、とても幸運なのではないだろうか。

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