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【CG】アルファロメオ・ジュリアは現代に蘇った魔性のスポーツカーだ

現在流通している輸入車の中でも、とびきり妖艶な美しさを放つモデルがある。それが、アルファロメオのジュリアだ。現行モデルとなる2代目ジュリアは、2015年に発表、日本国内においては2017年から発売が開始された。アルファロメオが新しい自体に突入したことの象徴としてのジュリアと、原点回帰としてのジュリア。2つの観点から、このモデルの魅力を解き明かして行こう。

ジュリアに秘められたアルファロメオのヒストリー

ジュリアは、アルファロメオにとって特別なモデルである。

「ジュリア」の名前が初めて使われたのは、今から遡ること約60年ほども昔のこと。1950年代、第二次世界大戦後にアルファロメオが、量産車メーカーとして転身することを命運付けたモデル・ジュリエッタの後継として1962年に企画された。

ジュリエッタという名前は、シェイクスピアによる戯曲『ロメオとジュリエット』に由来しており、”小さなジュリア”という意味を持つ。つまり、ジュリアは”ジュリエッタの姉”として、より洗練されて優れたモデルであることを指していたのである。

そうして生まれた初代ジュリアは、オールアルミ製のエンジン・5速のトランスミッション・4輪ディスクブレーキなど、当時としては革新的とも呼べる数々の技術を搭載。他メーカーのモデルと比較しても圧倒的なパフォーマンスを誇ったことから大ヒットし、現在でも戦後のアルファロメオを代表するモデルとして語り継がれている。

初代ジュリアには、クーペスタイルだったベルリーナやスパイダー、ベルリネッタ。高性能モデルT1スーパー、ジュリアをベースとしたレーシングカーのTZなどなど、数えきれないほどのファミリーが存在するが、今回は泣く泣く割愛させて頂く。

そして、2015年アルファロメオが世界に向けて公開したジュリアの姿には、確かに初代ジュリアの面影があった。いったんは途切れてしまったかに思えた彼女の歴史が、40年ぶりに動き出したのである。

2代目となったジュリアは、アルファロメオのラインナップとしては1992年に生産終了している「75」以来のFRモデルとなった。アルファロメオが定義する革新的なエンジン・50:50の前後重量配分・独創的な技術ソリューション・優れたパワーウェイトレシオ・洗練されたイタリアンデザインの全てを現実にした、いわばアルファロメオというメーカー自体を具現化した芸術品なのである。

ジュリアの魅力の根幹は、新型プラットフォームにあり

2代目ジュリアは現在、ターボディーゼル スーパー・ターボ ヴェローチェ・ターボ Q4 ヴェローチェ・クアドリフォリオの4グレードで展開している。採用されているプラットフォームは、開発に1200億円が投じられたとされるジョルジョ・プラットフォームだ。グループ内では、このプラットフォームを「ダイヤの原石」と呼ぶ声もある。

この巨額の資金投入には、フィアット・クライスラー・オートモービルズ及び、フェラーリの最高責任者であった故セルジオ・マルキオンネ氏の尽力があった。彼の決断がなければ、ジュリアの復活はなかったといっても過言ではないだろう。そして、このジョルジョ・プラットフォームのクオリティは、まさにカットされる前のダイヤの原石だった。一言で言えば、過激なほどにスポーティなのである。縦置きエンジン及び、後輪駆動ベース用のプラットフォームであるジョルジョは、アルファロメオブランドを戦前のように高級スポーツカーメーカーまでとはいかずとも、本格的なスポーティカーブランドに戻して見せるという、本気の現れなのだ。

ジョルジョの特徴を最もよく表すキーワードは、軽量化と高性能だ。事実として、ジュリアは2016年にニュルブルクリンクで行われたタイムアタックで、当時の量産車最速の7秒32という途方もない記録を叩き出している。つまりジュリアは、名実ともにアルファロメオを”あの頃の姿”に戻して見せたのだ。

パワートレーンとクアドリフォリオ。レースで培われた技術の結晶

パワートレーンは、受注生産グレードである2.0 ターボと2.0ターボ スーパーに搭載される最高出力200PS、最大トルク33.7kgmを発揮する、2.0L 直列4気筒マルチエア16バルブインタークラー付きツインスクロールターボエンジンが基本だ。

アッパーグレードとなるヴェローチェにも同型エンジンが搭載されるが、こちらはアルファロメオの走りの血統を濃く表現するように、より高いパフォーマンスを発揮する。最高出力280PS、最大トルクは40.8kgmだ。

2.2 ターボディーゼルスーパーに搭載されるのは、直列4気筒ターボ付きのクリーンディーゼルエンジン。最高出力190PS、最大トルク45.9kgmとディーゼルエンジンならではのトルクフルな走りを体感できるチューニングが施されている。

もちろんどのエンジンも素晴らしい性能を発揮してくれるが、特筆すべきはトップグレードに当たるクアドリフォリオだろう。前述した量販車世界最速をマークしたのも、このクアドリフォリオだ。アルファロメオがレースにかける情熱を現したクアドリフォリオ(四葉のクローバー)を冠したこのグレードに搭載されるのは、オールアルミ製V型6気筒のツインターボエンジンだ。世界に衝撃をもたらしたこのエンジンは、なんと最高出力510PS、最大トルク600Nm、最高速度は307km/hという途方もないパフォーマンスを発揮する。流石に、日本国内でこの性能を十二分に引き出す機会はそうそうないが、それでも思わず笑ってしまうようなどう猛さだ。

アルファロメオの創業は1910年。そして、創業翌年にはもうレースへの参加をはたしている。1923年に開催されたタルガ・フローリオでは、幸運を呼ぶ四葉のクローバーをシンボルとして掲げたレーシングドライバー、ウーゴ・シヴォッチが総合優勝を果たした。その後、F1グランプリでのタイトル獲得、ル・マン24耐では4連覇の偉業も成し遂げた。

アルファロメオには、戦前のレースシーンのトップを走り続けた誇りと歴史がある。ジュリアは、そんなアルファロメオのDNAが色濃く受け継がれたモデルなのだ。

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