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【フォルクスワーゲン ゴルフ】8代目に見る堅実な車造り

1974年にビートルの後継モデルとしてデビューしたフォルクスワーゲン ゴルフは、世代を問わずファミリー層に愛される大人気モデルだ。日本で購入できるのは7代目だが、ヨーロッパではすでにフルモデルチェンジした8代目となっている。

Cセグハッチバックのワールドワイド・スタンダード

ハッチバックのスタンダードとして、累計販売台数は3500万台以上にも及ぶフォルクスワーゲンのゴルフ。国内外でも高い評価を受ける1台だが、フルモデルチェンジを受け8代目へと移行したのは2019年のことだ。

ただし、これはフォルクスワーゲンのお膝元であるドイツ国内での話である。新型となったゴルフの日本上陸は2020年末から2021年の早い段階になるだろうと見込まれていたものの、新型コロナウイルスの影響は甚大かつ深刻だった。

現在では徐々に普段の日常に戻ってきつつもあるが、政府の指導によりロックダウンされていた欧州諸国では、存在するフォルクスワーゲンが所有する全16工場もヨーロッパではおよそ6週間の稼働停止。さらに、南米においてはおよそ10週間近くも生産が止まっていたという。このあおりを受けて、新型ゴルフの日本導入は未だ不透明である。座して待て、ということになるが、なんとももどかしい。

冒頭でも述べたが、ゴルフといえば1974年に初代モデルのデビュー以来、ベストかつロングセラーとなっている、いわばCセグのお手本のような車である。

派手さはなくても、手堅く、そして堅実。世界中の技術者はCセグのFFハッチバックを造ろうとする時、少なくとも一度はゴルフの画像とにらめっこしているはずだ。

もちろん、技術者からだけではなくユーザーからの人気も高い。2019年4月から2020年3月までの国内販売台数は、BMWのミニに次ぐ堂々の2位。販売台数は18416台である。過去のデータを見てみても、必ずといってもいいほど上位に名前が挙がっているのがゴルフというモデルなのだ。

改良したプラットフォームMQBを採用

さて、新型となったゴルフは先代のゴルフ7と同様のプラットフォームであるMQBを採用している。新開発のプラットフォームが採用されなかった背景として、ゴルフ7のモデル末期に改良が加えられた通称ゴルフ7.5のクオリティの高さがある。

横置きエンジン用のモジュラープラットフォームとして生まれ、すでに8年が経つもののMQB自体が生み出すきびきびとした乗り心地や操縦安定性は未だに現役ということだ。

とはいえ、先代のプラットフォームをそっくりそのまま続投させているわけではない。一部の上級グレードにおいてはフロントのサブフレームをアルミ化するなど、改良が加えられている。

新型ゴルフでは、パワートレーンが枝分かれ。多くのバリエーションが展開することとなっている。本国ドイツで走る新型ゴルフに搭載されるパワートレーンはハイブリッドだけでも5種類。そのうち2つはPHVとなり、ツインドージングと呼ばれるクリーンディーゼルも新たに設定されている。

この中で、日本への導入が見込まれている本命が1.5L 直列4気筒ターボにマイルドハイブリッドを組み合わせたエンジンと2.0L 直列4気筒のディーゼルターボエンジンだ。これらに7速のデュアルクラッチトランスミッションを組み合わせる。いずれも燃費性能が向上しており、マイルドハイブリッドは従来のガソリンモデルに比べ、およそ10%ほども燃費が良いという。一方、ディーゼルエンジンは現行ゴルフに搭載されるユニットとベースは同じものだ。ここに、排ガスの排出を抑えるツインドージングシステムを採用した。

フォルクスワーゲン ゴルフ

安心感あるデザインはゴルフならでは

デザインは基本的にキープコンセプトだ。「ああ、ゴルフだ」と安心して見ていられるだろう。3サイズもほぼ変わらない。先代比で全長は26mmプラスの全高は36mmマイナスだ。低くなった分、空気抵抗係数(cd値)は向上している。ヘッドランプ等にLEDを積極的に取り入れて新型感はあるものの、無駄な演出をしないゴルフらしいモデルチェンジに留まっている。

ただし、コクピット周辺のソフト面では大々的なアップデートが図られている。一言で言えばデジタル化だ。インパネ周辺の物理スイッチは限界まで減らされ、ナビゲーションやエアコン等の操作は、備えつけられた8.25インチのタッチディスプレイによって行う。

同時に、新型ゴルフでは音声認識機能も搭載された。合言葉は「ハロー、フォルクスワーゲン」だ。オーナーは新型ゴルフに呼びかけることで、会話するように多くの機能を操ることができるという。

フォルクスワーゲン ゴルフ

※ ※ ※

今回ゴルフが受けたモデルチェンジは、ベストセラーカーとしてプライドのようなものを感じとることができる。フォルクスワーゲンがそういっているようにも思えた。現在ヨーロッパで販売されている仕様が、どこまで日本に導入されるのかは分からない。だが、どんな仕様が輸入されたとしても、決してファンを落胆させるようなことはないだろう。

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