2020年8月10日、マセラティ クアトロポルテ・トロフェオとギブリ・トロフェオをラインナップに追加することを発表した。今回の発表により2018年より販売されているレヴァンテ・トロフェオに加えて、トロフェオコレクションは3モデルとなる。
クアトロポルテ・トロフェオ
クアトロポルテといえば、押しも押されぬマセラティのフラッグシップモデルだ。1963年に初代モデルがデビューし、現行モデルは6代目モデルである。ラグジュアリーさとスポーティーな走行性能で、多くのセレブから支持を得るモデルだ。
フェラーリ製V型6気筒エンジンを全グレードで採用していたが、トロフェオでは改良された3.8LのV型8気筒ツインターボエンジンを搭載。
最高出力は580PS/最大トルクは730Nmを発揮し、最高速度は326km/hを誇る。0-100km/h加速は4.5秒、最高速度は公称値で326km/hと先輩であるレヴァンテ・トロフェオを超える動力性能を有している。名実ともに、世界最速のセダンとなった。
ギブリ・トロフェオ
リビア高地から地中海へ吹き抜ける熱風『ギブリ』の名前が与えられたマセラティ・ギブリは、フラッグシップであるクアトロポルテを縮めたモデルとも言えるだろう。
ラインナップの中でも、本体価格875万円~と最もリーズナブルな価格設定がなされたマセラティの主力商品である。
今回、トロフェオが追加されるに当たり、ギブリにもフェラーリ製のV型8気筒ツインターボエンジンが搭載された。最高出力/最大トルクはクアトロポルテ・トロフェオと同様。最高速度も同じであるが、0-100km/h加速が4.3秒とクアトロポルテ・トロフェオよりも0.2秒ではあるが短縮されている。
レヴァンテ・トロフェオ
最も早くデビューしたのがこのレヴァンテ・トロフェオである。
レヴァンテは元々、マセラティが誇る高性能SUVである。ブランドとして、初のSUVモデルだ。トロフェオになるにあたり、搭載していたV型6気筒エンジンから、フェラーリ製の3.8L V型8気筒のツインターボエンジンに換装されている。
マラネロ工場で組み立てられるこのエンジンは、まさに名門に相応しい動力性能を発揮する。実は、このエンジン元々はクアトロポルテGTSに積まれていたユニットだ。
移植するにあたり、マッピングキャリブレーションを書き換え、ターボチャージャーには新開発のパラレルツインスクロールを採用。シリンダーヘッドをリデザインし、ピストンやコネクティングロッドも再設計されている。
そうした改良の結果、最高出力590PS/最大トルク734Nmを発揮。カタログスペックでは0-100km/h加速が3.9秒、最高速度は304km/hを誇る。ポルシェのカイエンターボが最高出力550PS、0-100km/h加速が4.1秒、最高速度は286km/hを謳っているので、比較することで「トロフェオ」の凄まじさが分かるだろう。
専用デザイン、三者三様のエクステリア
トロフェオ コレクションの3モデルには、それぞれローンチ・エクステリア・カラーが与えられた。どのようなカラーか?一言でいえばイタリア国旗に用いられているトリコロール・カラーである。クアトロポルテにはグリーン、レヴァンテにはホワイト、ギブリにはレッドといった具合だ。
さらに、「トロフェオ」モデルであることをアピールするため、サエッタロゴにレッドのディティールが追加される。
また、スポーティさを強調するための装備として、グリルのデュアルバーはピアノブラック塗装が施され、カーボンファイバー製のフロントエアダクトトリムとリアのエクストラクターが装着された。
一方インテリアでは、エンジン始動と共にインターフェースを表示する新たなオンボードパネルを装備。シートヘッドレストには”Trofeo”の刺繍が施され、最高級の質感と耐久性を備えるフルグレインのピエノ・フィオーレ・ナチュラルレザーが内装の至るところに用いられている。
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主役の3台が出そろったトロフェオ コレクションだが、大きな違いはやはりボディスタイルの違いであろう。セダンのクアトロポルテ、SUVのレヴァンテ、クーペのギブリ。搭載するエンジンは、僅かな性能の差があるとはいえ、基本的な素性は変わらないからだ。
異なる個性を持った3台のトロフェオは、パフォーマンスとラグジュアリーさを極めたモデル達である。