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Y33シーマ

日本にも、セダンが主役だった時代があった。

自動車の基本は軽自動車でも、ミニバンでも、SUVでも、クーペでもない。普遍的なサイズで実用性を重視した4枚ドアのセダンである。このセダンという名称であるが、国によって呼び方が変わる。日本やアメリカなどではセダン。欧州ではサルーンと呼ばれる。

国内においては戦前から乗用車と言えばセダンだったわけだが、現在では下火…というよりハッキリ言って人気がない。Y31型シーマが社会現象を起こし、トヨタのセルシオは世界を驚かせるほどのクオリティを持っていた。

バブル期がもっとも顕著だったが、1980年年代から2000年代にかけて、一部の富裕層だけではなく一般的なファミリー層や青少年ですらセダンオーナーへの羨望を抱いていた時期があったのである。

しかし、バブル経済が崩壊し、90年代の終わりに掛けてハイソカーブームにとってかわるようにアウトドアブームが巻き起こった。この頃になると、各メーカークロスオーバーSUVの開発に着手し、セダンよりも高い居住性と積載能力を備えるミニバンが販売好調となる。

そのような流行の中にあって、確かにセダンでは役不足だろう。そこそこの大きさの車内空間と、そこそこの大きさのトランクルーム。そもそもカテゴリーが違うので、比べてしまうのは愚かなことだが、とにかくセダン需要は凋落の一途を辿ることになる。

この現象は、輸入車の台頭も大きい。メルセデスやBMWなど、ヨーロッパメーカーのセダンは元気が無くなった日本のセダン市場に驚くほどすんなりと入り込み、我が物顔で販売台数を伸ばした。

そんな状況にあった1996年。Y32型シーマがモデルチェンジ。Y33型へとバトンタッチすることになる。良くも悪くも「大人しかった」デザインから一転。英国風だったエクステリアは、高級感に躍動感をプラスしたドイツ風となった。

Y32型で得た教訓を元に、デビュー当初からプレミアム感を押し出した4.1L V8エンジンを搭載するラグジュアリーグレード リミテッドと、3.0L V6のターボエンジンを搭載するスポーティ路線へ振ったグランドツーリングを展開。

最上級グレードとしてVIPパッケージを追加することで、ショーファードリブン(運転手付きの車)的な要素を持たせた。

Y33型のスタイリングは、それまでの国産セダンとは一線を隠していた。普通のデザインは見飽きたと遠巻きに眺めていた、エネルギッシュな中年層やヤングエグゼクティブが飛びついたのである。

実は、筆者もY33型シーマを所有していたことがある。街を流している時に偶然車屋の店頭に並んでいるのを見かけた、97年式41LVを中古だったが即決で購入してしまったのだ。新車として販売されていた次期からは随分とズレるが、当時20歳前後の若造の目にも衝撃的に映ったのだから、デビュー当時のインパクトの強烈さが窺える。

しかし、そんなY33型がデビューした当時、トヨタのセルシオと戦っていた日産のフラッグシップ インフィニティQ45が販売を終了。Y33型シーマは、さらに多くの敵に囲まれることになる。

この頃のトヨタにはクラウンを始めとして、マジェスタ、セルシオ、アリストと名の知れた猛者ばかりだった。苦戦を強いられることは火を見るより明らかだろう。

その後、Y33型は2度のマイナーチェンジを受け、2001年を持って生産終了となる。世が世なら…と思わずにはいられないが、とにかくY33型も「シーマ」の名前を受け継ぐ名車であったことは間違いない。

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