2020年9月23日、BMWからM3セダンとM4クーペのニューモデルの登場が発表された。来年3月からのデリバリーが予定されており、本国ドイツを皮切りに世界中のマーケットへ投入される。日本への導入時期はまだ未定であるが、デビューが楽しみな1台がまた増えてしまった。
戦うために生まれたMモデル
初代M3がデビューしたのは、現在から遡ること35年前。西暦1986年のことである。BMW直産……というわけではなく、傘下企業であるM社(BMW M GmbH)が、ドイツ・ツーリングカー選手権の第1期に参戦するため、当時はまだ第二世代目だったE30型3シリーズをベースとしてホモロゲーションを獲得するために、製造・販売を始めたモデルであった。
しかしながら、完成したM3の戦闘能力が想像以上に高く、さまざまなレースで表彰台を飾ったことから市販車としても人気に火が付き、生産された5年の間におよそ1万7000台を売り上げるスマッシュヒットモデルとなった背景がある。
今回発表された新型M3とM4は、第6世代機にあたる。M3セダンは、新型のG80型3シリーズセダンを。M4クーペはG82型4シリーズクーペをベースとしたハイパフォーマンスモデルだ。
ド派手な進化を遂げたキドニーグリル
一目見て、両新型はアグレッシブなスタイルへと変貌を遂げたことが分かる。そのことを強烈にアピールするのが、ド派手になったキドニーグリルだろう。
今年の7月。通常モデルの4シリーズが発表された時ですら、縦方向に巨大化したキドニーグリル(メガキドニーとも呼ばれる)は良くも悪くも話題の中心となったが、今回の2つのMモデルではそれを越えてさらに過激さを前面に押し出したデザインが採用されている。
ベースとなった4シリーズのように、グリルの“縁取り”こそされていないものの、グリルの中央にまでボディカラーが入り、1枚もののグリルを採用していたいわゆるモノキドニーとも全く異なる形状だ。
水平に走るルーバーからは、むしろBMWのデザインにおけるクラシカルさを感じ取ることができる。
また、グリルの大型化はMモデルのようなパフォーマンスカーには恩恵も大きい。走行中、より多くのエアを取り込むことで、エンジン部分を効率よく冷却することができるからだ。
分割デザインもまた、BMWの伝統に習ったもの。面積が拡大すれば、その分空気抵抗が増す。そこで、グリルを2つに分けてデザイン的に中央を「尖らせる」ことで機能面でも優れた性能を発揮するのだ。
伝統の直6ツインターボを搭載
M3セダンとM4クーペ、2つの新型には3.0Lの直列6気筒ツインターボエンジンが搭載される。このエンジンは、既存モデルであるX3 MおよびX4 Mにも採用されているユニットだ。
BMWのB58型エンジンをベースとして開発された、今回のM社製S58型エンジンには、「M」バッジが付けられた他の高性能モデルと同じく、パフォーマンスによって2種のヴァージョンが用意された。
まずは、最高出力480PS/最大トルク550Nmを発生させるエンジンに、6速のマニュアルトランスミッションを組み合わせたモデル。2つめが最高出力510PS/最大トルク650Nmに、8速のMステップトロニックトランスミッションを組み合わせたコンペティションモデルだ。
走行性能は言わずもがなであり、通常モデルでは100km/hに到達するまで4.8秒、最高速度は250km/h。コンペティションともなれば最高速度は変わらないものの、100km/hに達するまで3.9秒しかかからない俊足である。
更なる速さを求めるオーナーのため、オプションとしてMスポーツパッケージが用意された。これを装備することで、スピードリミットを290km/hまで引き上げることが可能だ。
日本国内では色々な意味で到達できない速度域であるが(日本へ導入されるかも怪しい所だ)、いわゆるリミッター解除はなんともロマンに溢れている。
※ ※ ※
2つの新型Mには、今回初めてMレーストラックパッケージが用意された。このオプションは、M3セダンとM4クーペをよりスパルタンなサーキットモデルへ変えてしまう装備であり、カーボン製のセラミックブレーキや専用の軽合金ホイール、カーボン製バケットシートを搭載。各部の軽量化により車体重量をおよそ25kgも削減できるという。
販売価格は明らかにされていないものの、いずれも1000万円を超えるモデルとなることは確かだ。日本仕様がどのようになるか分からないが、願わくば本国ドイツ仕様のまま海を渡ってきて欲しいものである。