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【Cars & Colors】グリーンのトレンドをつくったベントレー、ニュー・ベンテイガで提案した新色「ビリジアン」

現地時間2020年6月30日、ベントレー・ベンテイガの2021年モデルが世界初公開された。ベントレーでは伝統的に年次ごとの改良を行っているため、多くのブランドのように「モデルチェンジ」という表現は用いられないが、今回の改良はいわゆるマイナーチェンジに相当するものと思ってよいだろう。

2021年モデルのベンテイガでは、フロントおよびリアのデザインが、すでに最新世代のデザイン言語を用いているコンチネンタルGTとフライングスパーに準拠したものへと変更されている。また、当然のことながら、インテリアのデザインもリフレッシュされている。

そして、今回エクステリアカラーに追加されたのが、「ビリジアン」と「パティナ」である。今回は「ビリジアン」について見てみよう。

日本人には馴染み深い「ビリジアン」という色

画像はイメージです。

ベントレーのような高級車ブランドでは、カタログカラーとして非常に豊富な色がデフォルトで用意されているものだ。そのほとんどは、単に「青」や「赤」と表現できるものではなく、多くの場合、色のモチーフとなる物の名前が付けられている。例えば、もっともシンプルかつ上質な光沢のあるブラックには、チョウザメの一種であり、そこから得られるキャビアを意味する「ベルーガ」の名前が与えられているし、太陽光のもとで鮮やかに輝くメタリックブルーには、孔雀を意味する「ピーコック」の名前が与えられている。

その点、この「ビリジアン」は、どちらかというと色そのものを表す言葉だ。辞書的に言えば「3価のクロム化合物を含む緑系の顔料」であり、日本語で端的に表せば「深緑」あるいは「青緑」となるだろう。「ビリジアン」という言葉自体は耳馴染みがないかもしれないが、色そのものは決して珍しいものではない。ただ、特定のモチーフがあるわけではなく、化学的に精製された色なのである。

一方で、記憶をたどってみると、特に日本人は「ビリジアン」という色の名を、どこかで聞いたことがあるかもしれない。それは幼い頃に誰もが一度は触れたであろう絵の具セットの中である。もっとも一般的な12色の絵の具セットの中には、緑系の色として「黄緑」と「ビリジアン」が用意されていることが多い。逆に「緑」そのものは用意されていない。それは、絵の具は混色させることを前提としており、「ビリジアン」と「黄色」から「緑」をつくることはできるが、その逆はできないためである。

そういうわけで、「ビリジアン」は決して縁遠い色ではないのである。

伝統的なグリーンではない、現代的なグリーン

ひるがえって、ベンテイガの「ビリジアン」を見ると、かつての絵の具からイメージされる「ビリジアン」とは少々異なるようだ。現在、ベントレーのカタログカラーには緑系統として9色が用意されている。最も鮮やかかつ明るいのが「アップル・グリーン」、一見すると黒に見える「ミッドナイト・エメラルド」、イエローカラーに寄せた「ラジウム」などである。

そのラインナップの中で、今回追加された「ビリジアン」は淡色系のポジションを埋める一色だ。アストンマーティンが得意とする「アストン・レーシング・グリーン・メタリック」に近い色であり、英国らしい高級感の中に、スポーティかつ若々しさを感じる。一方で、アストンマーティンのそれと異なり、ベントレーが提供するオフィシャルフォトを見る限り、光沢を抑えたマッドな印象も受ける。また別のオフィシャルフォトでは、光沢も感じられることから、いわゆるマット加工ではなく、比較的目の粗い粒子を塗料に配合することによって、光の反射を調整しているためだと思われる。

ここ数年のトレンドとして、ベントレーの「アップル・グリーン」に代表されるような鮮やかでフレッシュなライトグリーン、日本語で言えばまさに「黄緑色」がラグジュアリーなスポーツカーで散見される。メルセデスベンツがAMG-GTで、ランボルギーニがウルスでそうした色を提供してきた。しかし、そうしたトレンドをけん引してきたベントレーが次に提案したのは、より落ち着いたグリーンである「ビリジアン」だった。

本来であれば、いわゆる「ブリティッシュ・レーシング・グリーン」のような、深みのあるグリーンは、英国車の、そしてベントレーが得意とする領域だった。しかし、その伝統とは裏腹に、現代においてはいささか古臭さを感じることも事実だ。そうした背景からか、2010年代は決してグリーンはエクステリアカラーの中で中心的な存在を占めることはなかったが、今回のベンテイガでなされたベントレーからの提案を受けて、若々しさと高級感をあわせもった新緑のようなグリーンは、2020年代前半のトレンドのひとつとなるだろう。

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