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SOPHIAの松岡氏も愛した、1968年型シボレーコルベット C3の魅力

2020年8月23日、ショッキングなニュースが全国を駆け巡った。人気ロックバンド・SOPHIA、MICHAELのボーカリストである松岡充氏の車が炎上したというのである。

芸能界でも無類のクルマ好きとして知られている松岡氏の愛車は、1968年型シボレー・コルベットC3。幸いにも、本人含めてけが人は出なかったようだが、オフィシャルサイトにて松岡氏は謝罪と共に、長年に渡り連れ添ってきた愛車が失われてしまったことに対して隠しきれないショックを受けていることをつづっている。

歴代コルベット最高のモデル

さて、1968年型のシボレー・コルベットC3といえば、シリーズでは3代目に当たるモデルだ。そして、このC3はコルベットが持つ歴史の中で、最も生産期間が長い。デビューしたのが1968年。生産終了は1982年である。10年足らずでモデルチェンジされる現在からすれば、ありえないほどのロングスパンだ。

15年という長い期間で製造された台数は54万2741台に達し、激しく情勢が移り変わっていた1960年代のアメリカ国内の流れにあって、ベースモデルの本体価格は最終的に4倍ほどの価格になっていたという。

コークボトルとも呼ばれる独創的なデザイン

コルベットC3は、1965年開催のニューヨーク国際オートショーにて出展されたコンセプトカー・Mako Shark Ⅱ(メイコ・シャーク Ⅱ)を量販車としてリデザインしたものである。

このMako Shark Ⅱは、当時GM内における最新ユニットだった7.0LのV型8気筒エンジンを搭載し、可変するリアウイングとデジタル表示のメーター類。さらに、ステレオを搭載し実走可能な完璧な形でお披露目された実験的な車でもあった。

デザインを手がけたのは、ビル・ミッチェル氏と日系アメリカ人デザイナーのラリー・シノダ氏だ。ミッチェル氏は、GMにおける2代目のデザイン役員である。ビュイック・リヴィエラ・シルバーアロー3などのデザインを手がけている。アメリカンクラシックの立役者と言っても過言ではない。

一方、ラリー・シノダ氏はそんなミッチェル氏の腹心だった。移民を両親に持つ彼は、第二次世界大戦中、強制収容所で過ごした経験を持つ。現在では104年の歴史を持つ伝統のレース・インディ500で優勝したチームのエンジニアを経て、デザイナーへと転じた。

シノダ氏がデザインしたC3によって、「スティングレイ」のネーミングが復活する。独特なうねりを伴うボディラインは官能的で、見る者の目を奪う。プロポーションを破綻させないギリギリまで膨らんだフロント/リアのフェンダーと、そこから滑らかにくぼんだ様に見えるボディが描く特徴的なラインで、コークボトルというニックネームが付けられた。

シボレーコルベット C3

年代と共に大きく変貌を遂げていったC3

基本的なメカニズムは先代のC2よりそのまま受け継いでいる。シャーシやサスペンション、ブレーキ等がキャリーオーバーされ、ボディシェルとインテリアが刷新された。

エンジンに関しては、当初こそC2と同様のユニットを搭載していたが、デビュー翌年の1969年には5.4Lから5.7Lへ大型化。更なる動力性能を獲得している。

この年代のクラシカルなアメ車は、とにかく年々改良を受けていた。C3もまたそんな1台である。ハイオクガソリン車だったC3は、1971年施行の法律に対応するためレギュラーガソリン車となり、1973年には環境問題に対する厳しい規制によりエンジンはパワーダウン。同年に、アイアンバンパーと呼ばれていた前後のバンパーは樹脂製へと変更され、1978年には衝突時の衝撃を緩和する5マイルバンパーが採用された結果、同じモデルとは思えないほど様変わりすることになる。

その後も度々改良が加えられるが、1979年には年間53807台売り上げて、コルベット史上最大のセールスを記録する。スポーツカーとしての性格を強くしていったC3が、広く受け入れられた結果なのだろう。そんなC3は、1984年に次代のモデルとなるC4と入れ替わる形で生産を終える。

* * *

C3は、コルベットの絶頂期と古き良きアメリカを教えてくれる1台だ。単に古い車では出せない味わい深さを感じ取ることができるだろう。悲しいかな今回トラブルで車を失ってしまった松岡氏も、きっとC3のそういった魅力に憑りつかれていたに違いない。

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