2020年7月20日、ジープブランドのコンパクトSUVであるコンパスに、プラグインハイブリッドモデルの追加を発表した。ブランドでも初となるこのPHEVには「4xe」と名づけられている。日本への導入は明らかにされていないが、欧州市場には同年9月よりデリバリーが開始される予定だ。
電動化に乗り出したジープ
ジープが大きく変わろうとしている。
あらゆるモデルを電動化する用意が整ったとするジープは、世界で最も環境に配慮した、最も持続可能なSUVメーカーを目指すと宣言している。
悪路走行性を高めたモデルをラインナップしているジープだが、EVはオンロードだけではなく、オフロードでも多くのメリットを持つ。電動モデルならではの瞬発力、メカニズムが発生させるノイズの軽減、アウトドアシーンでの電力供給スタンドとしての利用法など、通常のガソリンモデルでは得難い特性を備えることができるのである。
そして今回、レネゲードやラングラーと共に、ブランドのコアモデルに位置づけられているコンパスに白羽の矢が立てられたというワケだ。今後ジープは、今回の発表を皮切りに2022年までに10車種のPHVと、4車種のEVモデルをリリースするとしている。コンパス4xeは、その先駆けとなるモデルだ。
最高180hpを発揮するハイブリッドシステム
実は、コンパスより先にジープは、ラングラーをマイルドハイブリッド化している。2.0Lの直列4ガソリンターボは最高出力270hp、最大トルク40.8kgmを発生。搭載されるマイルドハイブリッドシステムは「eToeque」である。
一方、「4xe」を採用するコンパスでは、最高出力130hp/180hp、最大トルク27.5kgmを発揮する1.3Lの直列4気筒ガソリンターボエンジンに加え、最大出力60hp、最大トルク25.5kgmのモーターを組み合わせた。これにより、システム総合での出力は190/240hpとなる。eAWDシステムによりエンジンで前輪を、モーターが後輪を駆動させる。0-100km/h加速は7.5秒となり、最高速度は200km/hまで達する。
エンジンを稼働させずに走行できるEVモードでは、ゼロエミッションのまま50kmの航続を可能にし、最高速度も130kmを確保しているため、高速道路の走行も苦にしない。環境にも配慮した高い燃費性能を有するコンパス4xeは、CO2の排出量も50g/km以下にまで軽減することに成功している。
また、ハイブリッド・フルエレクトリック・Eセーブという3つの走行モードを用意した。状況に応じて、切り替えることでハイブリッドシステムをより効率的に働かせて走ることが可能だ。
強化されたコネクティッド
日本へ導入されることがあれば、変更される可能性もあるが、コンパス4xeの欧州仕様車には3つのグレードが用意される。リミテッド・S・トレイルホークというラインナップだ。
全車に最新の運転支援システムが用意され、コネクティッドも高められている。グレードに応じてナビシステムにはUconnect NAVとタッチスクリーン、スマートフォントを連携させる機能が採用され、7インチサイズのTFTディスプレイにはバッテリーの残量や航続可能距離など、ハイブリッドシステムに関わる表示が行われる。
Uconnectといえば、ジープが採用している最新のインフォテインメントシステムであるが、これに5つのパッケージが用意された。内容は、マイ アシスタント・マイ カー・マイ ナビゲーション・マイ eチャージだ。
特に、マイ eチャージは、設置されている充電ステーションの利用を便利にアシストしてくれるパッケージだ。スマートフォンにインストールしたマイ ユーコネクトアプリで、バッテリーの残量を確認。エアコンの設定なども行うことができる。
さらに、バッテリーの残量は少なくなれば、マイ ユーコネクトアプリと、車内に搭載する8.4インチサイズのユーコネクトナビゲーションに、現在地から最も近い充電ステーションを表示してくれる。
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ジープとって、PHEVモデルの追加は転換であり、大きな挑戦となる。革命と言ってもいいかもしれない。さまざまな海外メーカーが電動化モデルを発表している中、ジープは電動化SUVという唯一無二の武器で斬り込んでいく。
電動化の波は、我々の予想しなかったスピード感で進んでいる。PHEVとなったコンパス4xeは、オンロード/オフロード問わずガソリンモデル以上に魅力的かもしれない。