コンセプトカーとほぼ変わらないエクステリアでデビューするアリアだが、インテリアもアリア・コンセプトから多くのものを受け継いだ。採用される、デザイン・コンセプト・機能・先進技術は、これまでにない日産の新しい形を作り上げている。今回は、日産 アリアのインテリアを詳しく見ていく。
近未来的なコクピットは洗練の一言
フロントシートで目を引くのは、大きなS字ディスプレイだ。
12.3インチのEV専用日産コネクトナビゲーションは見た目の美しさだけではなく、ドライバーが運転中に必要な情報を得るため、違和感なく視線移動を行えるようなデザインが採用されている。
このディスプレイには、フルデジタルの高精細タッチパネルが採用されているため利便性が高く、指先一つでスマートフォンのような直感的な操作も可能だ。
また、ドアトリムと足元センターにはフロントフェイスと同じく「組子」をモチーフにしたデザイン照明を採用。この照明は、見る角度により豊かな陰影を映し出してくれる。
ダッシュボードには、大きな木目調のフィニッシャーを採用。ここにエアコン等、空調のスイッチを統合した。物理的なスイッチを一切取り払った先進的かつモダンなデザインは、高級家具の仕立てを思わせる造りだ。このスイッチには、ハプティック技術が用いられており、触ると実際に物理的なスイッチに触れたかのような感覚を得ることができる。
さらに、センターアームレストやダッシュボードには、一直線にカッパーのラインが取り入れられている。これも、アリア・コンセプトから引き継いだアクセサリーであり、金属的な質感が車内をプレミアムなものに盛り上げる。
シフトレバーが配置されているセンターコンソールにも特徴がある。なんと、電気的なスイッチ操作により、センターコンソールの位置自体を動かすことができるのである。シートの位置はもちろん、センターコンソールを動かすことにより、アリアの中でドライバーはさらに高度にドライビングポジションを最適化することが可能となる。
インテリアカラーに関していえば、ブラックとアイボリー色が確認できている。シックで落ち着いたブラックか、ラグジュアリーで清潔感漂うアイボリー色かは、ドライバーの好みが分かれる所だろう。
新規開発のプラットフォームがもたらす恩恵
アリアには、新開発のEV専用プラットフォームが採用されている。搭載されるバッテリーおよびモーターも、完全新規のユニットとなる。
この新規開発されたEVシステムにより、フロントに配置されるモーターの小型化に成功した。モーターが小さくなったということは、モーターを格納するモーターハウスの小型化にも繋がる。これにより、アリアはCセグメントらしからぬキャビンの大きさを獲得したのである。
さらに、フロアに置かれるバッテリーもかなり薄型になっている。バッテリーが薄ければ薄いほどフロアはフラットに、そして低く設計することが可能だ。実際、新型アリアのフロアは驚くほどフラットな形状をしている。
また、リアシートには、センターコンソールにシートヒーターのスイッチと、USBのAおよびC規格のポートを備えている。充実した装備が車内の快適性を底上げしてくれるだろう。
電動のテールゲートに隠されたラゲッジスペースも、薄型化したバッテリーの恩恵を受けて広い。スクエアな空間が、ぽっかりと口を開けているような印象だ。左右を抉るような形で切られたたラゲッジには、ゴルフバッグも余裕で積み込むことができる。
人と繋がる、最新のコネクティッドを採用
コネクテッドについても、先進的な技術が採用されている。アリアは、運転していない時にもヒトと関わっていられる存在を目指した。
コネクテッドで重視されたのはシームレスである。このシームレスとは、”つなぎ目がない”ということだ。
たとえば、スマートフォンを使うことにより車外からでもナビゲーションに目的地の設定が可能とする。しかも、充電スタンドを経由する経路を自動で選択してくれるので、不安なくドライブを楽しむことができるのだ。
また、メルセデスのMUBXやBMWのラインナップのように、アリアにもGoogleのアレクサによる音声サービスが導入されている。この機能により、アリアを車内はもちろん車外からコントロールすることができる。
自宅にいる場合でも、連動したスマートスピーカーを用いることで、リモート操作やモニターが可能だ。バッテリーの残量確認をはじめ、「ハイ、アレクサ。」の一言でドライブシーンに合わせた音楽を選択してかけることもできる。
さらに、アレクサの機能はこれだけにとどまらず、アリアだけではなく自宅の家電のコントロールをも可能にした。照明を付けたり、エアコンを起動したりと、生活のためのパートナーとして自然に馴染むようなシステムが採用されている。
アリアのインテリアは、電気自動車の静粛性と自動運転の快適性を両立させつつ、ドライバーをはじめとして、アリアに乗るすべての乗員がくつろげる空間を目指した。そのコンセプトに偽りはなく、くつろげる空間はモダンなラウンジを想像させてくれるだろう。
これまでの日産車とは、まったく異なるキャラクターが与えられたアリアのインテリアは、日産にとっても革新的なものだ。発売自体は2021年の夏ごろとされているが、一刻も早く、運転席に座ってみたいものである。