現地時間2020年6月30日、ベントレーによる初のオンラインワールドプレミアで、2021年モデルのベンテイガがお披露目された。ベントレーでは、伝統的に「モデルチェンジ」という言葉を使用していないが、今回発表された「2021年モデル」は、単なるフェイスリフトではなく、有り体に言えばマイナーチェンジということである。
いまでこそロールスロイスやランボルギーニ、アストンマーティンといったラグジュアリーブランドのほとんどがそのラインナップにSUVを加えているが、2015年11月にベントレーがラグジュアリーブランドとしてはじめてベンテイガを公開したときには、多くの人がラグジュアリーというものと、SUVというものが、どのように交わるのかを知らなかったのではないだろうか。
しかし、そんな懸念とは裏腹に、ベンテイガを市場は好意的に受け止めた。発売からわずか5年足らずで、すでに2万台以上を販売していることがその証左だ。
今回の改良をうけて、ベンテイガは究極のパワーとラグジュアリー、そしてユーザビリティを得たという。さらに印象的なのは、リフレッシュしたデザインだ。エクステリアは、最新のコンチネンタルGTやフライングスパーに使用されているデザイン言語からインスピレーションを受けた結果、驚くほどダイナミックな仕上がりを見せる。また、インテリアでは、センターフェイシア、ステアリングホイール、ドアトリム、そしてシートが一新されているほか、リアキャビンの足回りスペースが最大で100mm拡大されるなど、実用的かつよりラグジュアリーに変化している。
圧倒的なパワーと最先端のメカニズムの融合
新しく発表されたベンテイガは、4.0リットル 32バルブのデュアルツインスクロールターボチャージャー付きV8ガソリンエンジンを搭載。このV8エンジンに8速オートマチックギアボックスを組み合わせることで、最高速度は290km / h、0-100kmは4.5秒という加速性能を得ている。
また、リアトレッドが20mm拡大されたことで、世界初の電動式アクティブロールコントロールテクノロジーである「ベントレーダイナミックライド」も改良された。これにより、コーナリング時に横方向のローリングフォースにも即座に対応できるため、クラス最高のキャビン安定性、快適性、ハンドリング性能を実現している。
さらに、SUVらしい走行モードがオンロードとオフロードで各4つずつ用意されている。合計8つの走行モードをさまざまな路面状況に合わせて設定することで、ドライバーは最適なドライビングパフォーマンスを得ることができるのである。
また、V8エンジン搭載モデルに続き、ラグジュアリーSUVとしては初のプラグインハイブリッド(PHV)モデル、そしてパフォーマンスをより高めた最上位モデルとしてW12エンジン搭載のスピードモデルの発売が予定されている。電動化によってよりエコロジーでありより先進的なラグジュアリー、あるいは、よりパワフルでエモーショナルなラグジュアリーを選択することができるのである。
最先端テクノロジーと技術を駆使した快適空間を演出
新型ベンテイガは、最新テクノロジーを駆使して現代的な快適性を演出していることも魅力のひとつだろう。
まず、Apple CarPlayやAndroid Autoを搭載するほか、高度なナビゲーション技術が備わった最先端のインフォテイメントシステムを導入。そのスクリーンは、反射防止および防眩コーティングを施しているほか、タッチ機能も装備されている。高解像度の10.9インチディスプレイなので、より現代的なデザインになっていることがわかるだろう。
また、コンチネンタルGTおよびフライングスパーと同様の、フルデジタルのドライバーインフォメーションパネルも追加された。コックピッドを洗練させるだけでなく、ドライバーの要件に合わせてカスタマイズすることができるため、機能的でもある。この高解像度のスクリーンは、「クラシック」と「エクスパンデッド」の2種類の表示レイアウトを選択することができ、オーナーの好みを反映させることができる。
さらに、2レベルのオーディオシステムも用意される。標準装備のベントレー・シグネチャー・オーディオでは、12個のスピーカーと590Wのパワーで、高音質体験を提供する。オプションのネイム・フォー・ベントレーシステムを追加することで、フロントシート下のアクティブベーススピーカーを含む20台以上のスピーカーと1780Wのパワーによる圧倒的な音質を得ることもできる。
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ラグジュアリーブランド初のSUVとして、市場を切り開いてきたベンテイガ。今回の改良で、いわゆる「後期型」へと生まれ変わった。ラグジュアリーとは過去の遺産ではなく、常に現代的に変化していくものである。そのような意味で、ベンテイガは今後も進化を続けていくことだろう。