現地時間2020年6月16日、北米日産より新型ローグの情報が明らかにされた。実に7年ぶりのフルモデルチェンジである。ローグと聞いても日本人にはあまり耳馴染みがないかもしれない。しかし、日本名はエクストレイルだと言えば、途端に身近な存在に思えるだろう。
北米日産を支える屋台骨、それがローグ
ローグは、北米日産のラインナップでも主力となるモデルだ。2019年には、年間で35万台を売り上げているなどその貢献度は計り知れない。この数字がピンとこない方のために説明すると、2019年の1年間で、日本で多く売れた乗用車はトヨタ プリウス、日産 ノート、トヨタ シエンタの3モデルだが、販売台数を合計してやっと35万4939台となる。ローグはたった1モデルで日本の年間販売台数トップ3に匹敵する数を販売しているのだ。いかに、アメリカ広しといえども、この凄まじい”稼ぎ頭”っぷりには恐れ入る。
存在感が劇的に向上したエクステリアデザイン
さて、今回のモデルチェンジでローグがどう変わったのかを見ていく。まずは、フロントフェイスだ。デザイン自体は、2019年に発表されたアリア コンセプトの流れを組む造形となっている。日本では未導入だが、新型ジュークとの共通点を感じじさせるクーペデザインだ。
フロントグリルにブランドのキャラクターアイコンを採用することが多いように、新型ローグにも日産が2010年から採用しているVモーショングリルがおごられている。マルチレベルLEDのヘッドライトは直線的な切れ長だ。2つのランプが分離するデザインは、側面から見ても精かんさを伝えてくれる。
サイドビューでは大きくキャラクターラインを入れない、どちらかといえば面での構成になっており、従来よりも大人らしさを感じさせる演出となっている。特徴的なのは、フロントフェンダーからリアドア上部までU字型で繋がるボディサイドハイライトだ。これによって躍動感をプラスした。同時に、ホイールアーチにブラックアウトした樹脂製パーツと、ドア下部に位置するサイドステップがSUVらしい力強さを感じさせてくれる。
リアは、フロントガラスの角度をより立てたデザインとなった。これにより、タフなSUV感と機能性を劇的に向上したとしている。リアフェンダーから連なるラインの彫りを深くすることで、プレミアム感を表現した。
生活に馴染むファミリーハブとしてのインテリア
インテリアは、従来モデルと比べて格段に上質なものになっているのがわかる。水平基調と薄型インストゥルメントパネルは、それだけで高級セダンの車内を思わせる造りだ。高級感はもとより、「ファミリーハブ」としての実用性と快適さに重点を当てて設計されている。
フロント/リアシートでシートヒーターが利用可能であり、外部ミラーやステアリングにもヒーター機能が搭載される。このシートは座っている時に脊椎をサポートする形状の日産ゼログラビティシートだ。これにより、乗車する距離を問わず疲労を軽減してくれる。
シート表皮はグレードにより異なるが、ベースとなるSLは通常のレザー表皮シート、上位グレードにはキルトセミアニリンレザーを標準で搭載する。インテリアカラーは、チャコール・グレー・タンの3色が用意された。
アクティビティに強い機能も忘れてはいけない。新型ローグのリアシートは、折り畳み式ワンタッチフォールドダウンシートが採用されている。この便利なシートは、リモートでの折り畳み機能も持っており、わざわざ手動でシートを畳む必要がない。
また、コネクテッドも大幅に強化されている。AppleCarPlayとAndroid Autoを搭載した日産コネクトを標準で搭載。Bluetoothハンズフリー電話システム、ハンズフリーテキストメッセージングアシスタント、Bluetooth経由のストリーミングオーディオ、Siri®Eyes Free、Googleアシスタントほか、サブスクリプションが必要だがSiriusXMラジオも用意されている。
プレミアムなドライビングダイナミクス
パワートレーンは、最大出力181PSの2.5L 直列4気筒エンジンを搭載する。ダイレクトインジェクションガソリンシステムとの組み合わせにより、従来モデルに比べて11PSの出力アップだ。エンジンの出力アップに加え、ギア比を改良した電動パワーステアリングや新型サスペンション、マルチリンクリアの採用によりドライブフィールはより洗練されてたものになった。
また、AWDモデルにはオフロード・スノー・スタンダード・エコ・スポーツという5つのドライブモードを選んで走る機能が追加される。センターコンソールに配置されたドライブセレクターを操作することで、シーンを選ばず走破性を高めることが可能だ。
世界的なSUV人気の中にあって、唯一ラインナップを増やさないという姿勢でトレンドを追ってこなかった日産。北米ではSUVラインナップが9つもある中、ようやく本命がフルモデルチェンジを受けたという格好だ。新型ローグは、新型エクストレイルとしてそう遠くない将来に日本へ導入されるだろう。そうすれば、話題沸騰中の新型ハリアーを脅かす存在になることは間違いない。