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【ホンダ NSX】常識を変えたスーパーカー、磨き抜かれた「走り」と「扱いやすさ」

2016年に2代目へと代替わりしても、NSXは誰でも楽しめるスーパースポーツカーだ。2020年モデルへとマイナーチェンジを受けてもなお、初代から変わらぬコンセプトを貫き続けている。現行型となる2020年モデルでは、往年のNSXにとっては懐かしいカラー・インディイエローパールが、より現代風のカラーリングとなって復刻している。

国産スーパーカーのパイオニア

西暦1989年――平成元年は、自動車業界にとって”豊作”の年だった。日産からはスカイラインGT-R、当時のユーノスからはロードスター、トヨタはセルシオをデビューさせて高級セダンの概念を覆して見せた。当時、自動車の生産台数でも世界トップの座に付いていた日本は、製造した車の品質と性能の面においても、名実ともに世界のリーダーとなったのである。そして、そのような流れの中で1990年、ホンダが生み出したのが初代NSXだ。それまで、前人未踏だったスーパーカーというジャンルに、日本のメーカーが斬り込んだ瞬間だった。

初代NSXは、従来のスーパーカーと比較しても圧倒的な動力性能を備えていただけではなく、ドライバーを選ばない扱いやすさと洗練された高級感で話題となり、ハンドメイドにも近い生産体制のだったため3年先まで予約が埋まる事態となったのである。スーパーカーの革命児・初代NSXは、デビューから15年後の2005年12月末、惜しまれつつ生産を終了。

しかし、2007年に再びNSXの歴史が動き始めることとなる。デトロイトモーターショーにて、後継モデルのコンセプトカーが出展されたのだ。ミッドシップレイアウトでV型10気筒エンジンを搭載するFRベースのAWDモデルは、国内外から大きな注目を集めた。そして2015年のデトロイトショーにおいて、新型アキュラNSXがお目見え。翌年の8月より国内で新型となって復活したスーパーカー・NSXの販売が開始されたのである。

初代NSXへのオマージュ、新色の「インディパールイエローⅡ」

2代目となったNSXは、2019年に約3年ぶりとなるビッグマイナーチェンジを受けている。

2020年モデルとなったNSXには、ボディカラーに新色となるインディイエローパールⅡが設定された。この特別なカラーは、先代のNSXに設定されていたインディイエローパールをオマージュしたカラーだ。

エキサイティングカラーシリーズの第二弾として登場したこのカラーは、先代のインディイエローをより鮮やかに進化させたカラーであり、NSXの持つ力強さと存在感、スーパーカーを所有する満足感をより高めるためのものだ。

このカラー追加により、従来のバレンシアレッド・パール、ヌーベルブルー・パール、サーマルオレンジ・パール、ソースシルバー・メタリック、カジノホワイト・パール、クルバレッド、130Rホワイト、ベルリナブラックに新色のインディイエロー・パールⅡを加えてボディカラーは全9色となった

NSXはまぎれもないスーパーカーであり、教科書だ

現行型NSXをスーパーカーたらしめている要因といえば、やはり動力性能であろう。搭載されるのは、ドライサンプ式の3.5L V型6気筒ツインターボエンジンだ。最高出力507PS、最大トルク550Nmを発生させるエンジンをミッドシップにレイアウト。さらに計3つのモーターにて強烈なアシストを受けられるハイブリッドタイプのAWDとしている。ハイブリッドシステムと聞けば大抵の人間は「エコ」を想像するだろうが、NSXのそれは走行性能の向上を目的として採用されているものだ。

モーターに関して具体的にいえば、トルクベクタリング機能付きの出力32PSのモーターがフロントに2つ配置され、リアには出力48PSのダイレクトドライブモーターが9段のデュアルクラッチトランスミッションに内蔵されている。これにより、システムの合計出力は581PS。これは、日産のGT-R NISMOが600PS、レクサスのLFAが最高出力560PSであることを鑑みても、国産スーパーカーの中でも堂々たる数値だ。

しかしながら、NSXは初代から受け継いだ「扱いやすさ」を忘れてはいない。アクセルを踏み込んで、スーパーカーの片鱗を見せたとしても牙を剥くような狂暴さをドライバーに感じさせないのだ。ハイパフォーマンスなエンジンながら、日常的に運転できる実用性を備えていることこそ、NSXの最大の特徴といえるだろう。

NSXは、スーパーカーにとって必要なものとはなにか教えてくれる。繰り返しになるが、高いパフォーマンスはもちろんとして、扱いやすさとプレミアム感を備えてこその「車」なのだということが、NSXを見ていると痛いほどに伝わってくるだろう。ただ速い車に乗りたいのなら、競技用車両に乗ればいい。だが、NSXはそうではない。ユーザーに「寄り添う」スーパーカーのパイオニアだ。

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