ヒュンダイが、2021年2月23日に発表したIONIQ 5は、CUVに分類される新型EVだ。同社が手がけるEVの専用ブランド「IONIQ」シリーズの第一弾となる。販売時期は2021年の前半となる予定。
E-GMPの採用によって4つの組み合わせパターンを実現
CUVであるIONIQ 5。プラットフォームには、ヒュンダイグループが開発したEV専用プラットフォームである、「エレクトロニック-グローバル・モデュラー・プラットフォーム」略して“E-GMP”を採用する。
バッテリー容量や駆動方式の組み合わせの自由度の高さが特徴の1つで、IONIQ 5はバッテリー/モーターの組み合わせを4パターン用意した。
ユーザーは、まずリアモーターのみの2WDモデルとフロント/リア両方にモーターを積んだAWDモデルのどちらかを選ぶことになる。バッテリーは、ベーシックな58kWhのバッテリーか、ロングレンジ仕様で72.6kWhの容量だ。
いずれの組み合わせにおいても、最高速度は185km/h。最上位モデルにあたるAWDのロングレンジバッテリー搭載仕様で0-60mph加速は5.2秒。バッテリーフル充電でおよそ480kmの走行を可能にする。
また、IONIQ 5の特徴的な装備の1つとして、バッテリーの電力サポートを行うソーラールーフが挙げられる。これは、バッテリーの放電を抑制し、走行可能な距離を伸ばすというもの。自動車の部品において、最も面積が広い“上向き”のパーツはルーフだ。EVならではの着眼点だといえる。
ヒュンダイの歴史を振り返るデザイン
IONIQ 5のエクステリアは一言でいえば斬新だ。ヒュンダイが1975年から1985年にかけて製造していたポニーを思わせる可愛らしさと、直線を多く用いた無機物的なラインが特徴である。
基本的なデザインは、ヒュンダイが2019年にフランクフルトモーターショーにて発表したコンセプトモデルEV45から受け継いでおり、ボディサイドを走る折り目のようなキャラクターラインも健在だ。IONIQ 5とコンセプトEV”45”。両者を見比べて見ると、コンセプトEV”45”がいかに完成形に近かったかが分かるだろう。
ヒュンダイ初の量産車であったポニー。そのデザインは、かのジョルジェット・ジウジアーロが手がけたものだった。それをモチーフに、1920年代の航空機デザインより影響を受け、ピュアでクリーンな近未来風デザインを与えたものがコンセプトEV”45”。さらに、それを再び量産車として落とし込んだのが今回のIONIQ 5である。
ヒュンダイの原点を振り返りつつEVという未来を見るデザインは、これから続くEVラインナップがIONIQ 5のコピーではなく、それぞれに強烈な個性が与えられたモデルとなることを示唆しているのだろう。
また、IONIQ 5の3サイズは、全長4635mm×全幅1890mm×全高1605mmだ。ホイールベースは3000mm。この3000mmのホイールベースがキモであり、IONIQ 5の独特なプロポーションの根幹だ。このホイールベースはスタイリングを形作るだけでなく、IONIQ 5にDセグに匹敵する居住空間を与えたという。
可変するコンソールとシンプルさが目を引くインテリア
コンセプトEV”45”のインテリアは、レザー・ファブリック・ウッドを組み合わせた家のリビングを思わせるデザインとなっていたが、IONIQ 5はシンプルさのみを受け継ぐ。
バッテリーをフロア下に搭載することで、フラットに。さらに、コンソールは可動式となった「ユニバーサルアイランド」を採用することで、使い勝手と快適さを向上させた。
IONIQ 5の目玉の機能として、ヒュンダイとして初めて拡張現実ヘッドアップディスプレイであるAR HUDを採用。ナビゲーションシステムや運転支援の情報を、フロントガラスに映し出すことが可能だ。
また、機能的なポイントとして、IONIQ 5にはヴィークル・トゥ・ロードを実現する機能を搭載。これは、多用途な給電機能であり、電気自転車やバイク。キャンプ用の電源などを接続することができる。この機能によって、IONIQ 5は文字通り走る充電器としての役割を果たせるという。
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ヒュンダイ期待の新ブランドIONIQの先駆けとなるIONIQ 5。フォルクスワーゲンのID.4やテスラのモデル Yを競合とらえているはずだが、使いやすいサイズと快適な居住空間から人気が出そうな1台だ。IONIQ 5は、2021年の前半より販売を開始する。