2021年2月21日、三菱自動車から新型アウトランダーが発表された。フルモデルチェンジされるアウトランダーは、今年の4月より米国を皮切りにマーケットに投入。あらゆるメーカーが覇権を競うミドルクラスSUV市場に、爪痕を残すことはできるのだろうか。
コンセプトモデルから引き継いだデザイン
今回のフルモデルチェンジは、日本国内では3代目、北米では4代目を数えるアウトランダー。2005年デビューの初代モデルより、都市型のクロスオーバーとして三菱のSUVラインナップの中核を成すモデルとして君臨してきた1台だ。
新型アウトランダー最大の特徴は、1目見て分かるスタイルアップだろう。採用されているエクステリアデザインは、2019年に開催された東京モーターショーにて公開されたコンセプトカー・エンゲルベルクツアラーのそれだ。両者を比較してみると、各所にコンセプトモデルのテイストが見受けられる。
コンセプトモデルに見られたデザイン手法は、新型アウトランダーのデザインに「ボールドストライド」というコンセプトとして引き継がれている。
三菱自動車ラインナップのキャラクターアイコンでもあるダイナミックシールドを装着したフロントフェイスは、先代モデルと比較してアグレッシヴさを増加。シャープになったLEDデイライトとウインカーが、大型で大胆に配置されたヘッドランプとギャップを生み出している。
国内のモデルに差をつけるインテリア
一方、インテリアにおいては、洗練と質感の高さに磨きをかけた。まず目に飛び込んでくるインパネ周りは、水平基調で統一。レザーをあしらったソフトパッドには、アクセントとしてステッチを仕込み、質感の高さをアピールする。
車内の雰囲気を左右するインテリアカラーには、グレード Pにシックなブラックとライトグレーのレザーシートを用意。このシートカラーにインパネとドアトリムも追従する形で同色塗装が施され、金属的な質感が運転席の雰囲気を引き締めるアルミニウムの加飾をシフトパネルに装着する。
さらに、オプションにはセミアニリンと呼ばれる高級素材を用いたシートを設定。グレード Hになると、スエードのような手触りが魅力のコンビネーション素材を用いたブラックシートを搭載するピアノブラックで統一したインテリアも。グレード Mにおいては、ファブリックでブラック×ライトグレー色のシートが装備される。
ドライバビリティを高めるためのメーターは、グレード毎に2タイプを設定。三菱自動車の長い歴史の中でも初採用となる12.3インチの全画面フルカラー液晶搭載フルデジタルドライバーディスプレイは、ユーザーの好みに応じて表示する情報をカスタマイズすることが可能だという。
さまざまな最新技術を搭載して生まれ変わるアウトランダーだが、インテリアデザインはアウディのQ8やBMWのX7を意識したもののように見える。
空調のルーバーと加飾がダッシュボード横一杯に伸びるデザインなどがまさにそれだ。国産車において、同じようなテイストが与えられたモデルは少ない。インテリアデザインにおいても、新鮮なインパクトを残してくれることだろう。
新開発のエンジンに加え、プラットフォームも新開発
搭載されるパワートレーンの詳細なスペック等は、いまだ公開されていないものの新開発された2.5Lのガソリンエンジンが採用されることは判明している。
2020年の10月に生産を終了したガソリンモデルアウトランダーに搭載されていた2.4Lエンジンの後継となる新型エンジンだ。
この新開発のエンジンに8速のスポーツモード搭載CVTを組み合わせ、路面状況に応じたモードを選ぶことができるドライブモードを採用する。4WDモデルには6つ、2WDモデルには5つのモードとなるようだ。
また、エンジンだけではなくプラットフォームも新開発のものを採用する。衝突に対する安全性や優れた操縦安定性を実現。これまでで、もっとも堅牢で安心できるアウトランダーになる。
向上したボディ剛性は、三菱が初めて採用したホットスタンプ式超高張力鋼板を用いたことで実現。軽量化を図りつつ、エンジンルームやキャビン周りに環状構造を使うことにより、ボディ全体のまげとねじりに対する剛性を引き上げている。
※ ※ ※
2021年1月の新車販売台数は、三菱ラインナップで見てみるとデリカD5が1,543台、エクリプスクロスは823台、アウトランダーに至っては番外と苦戦を強いられている三菱のSUVたち。9年ぶりに新型となるアウトランダーは、間違いなく歴代モデルの中でも最高の仕上がりといえるだろう。北米から遅れて日本に投入されるであろうアウトランダーは、きっと三菱自動車の底力を見せてくれるはずだ。