CAR

【CG】半世紀に渡る歴史が色濃く残るスポーツカーのアイコン

ポルシェを代表するモデルとして、1963年に発表されてから今もなお進化を続ける「911」は、不動の人気を誇るスポーツカーの一つ。なぜ、多くの人々に指示を集めているのか、911の魅力について解明していこう。

受け継がれるこだわりと進化を遂げる技術の融合

1964年に発表されて以来、長きに渡りポルシェを支えるモデルとして君臨している911。その誕生から現在に至るまで、基本的なコンセプトは大きく変わらないものの、今もなお進化を続けている。

この911は、フロントではなくリアエンドにエンジンが搭載されている。また、後輪駆動のRR方式は、開発当初から守り続けるこだわりの一つ。当時、後輪駆動はドライバーにとって運転しづらいと感じる意見が多かったものの、長年の改良を重ねる中で軽量化に成功し、こうした声も小さくなっていった。その結果、8代目となる現行モデル(992型)でもRR方式が受け継がれている。1990年代に突入すると、4輪車での空冷エンジンが数少なくなっていく中、911は唯一搭載されたモデルとしても知れ渡っている。

911の初代デザインを手掛けたのは、ポルシェ創設者の長男フェルディナント・アレクサンダー・ポルシェ。クルマだけでななく、コンタックスのカメラデザインにも携わっている。

そして、911のデザインを代表するのが、デビュー当時から変わない丸いヘッドライトだ。5代目となる996型のみ、その表情をガラッと変えたが、6代目の997型以降ふたたびおなじみのフロントフェイスが復活している。

また、ボクサーエンジンをリアに搭載したことで導き出される形状は、現行モデルもそのDNAを受け継いでいるとされる。

デザインDNAを動かさず、さらなる高みへ

911の歴代モデルを振り返ると、約半世紀にもわたる歴史がそこにある。初代となるのは901型だ。ちなみに、ポルシェ・365の後継車として、2シーターだった365に後席を作るために911が開発されたと言われている。

続いて、911の2代目となるのが930型だ。911初のターボモデルが登場し、そこには北米スポーツレーシングカーが開催するカナディアン・チャレンジカップにて、917用に開発されたターボエンジンが930型に還元されている。

3代目となる964型は、930型の4輪駆動モデルとして誕生した。930型シリーズで象徴的だったビックバンパーが取り外されたことにより、外観は大きな変貌を遂げる。しかし、実際に使用されるパーツの大半は、930から流用されたものだ。

そして、4代目の993型は、ポルシェ最後の空冷モデルとして知られている。これまで、空冷エンジンを守り続けてきたポルシェの歴史が反映されているモデルとして、911ファンの多くから根強い人気を誇る。

5代目の996型は、従来の911の表情をガラッと変更したことで、歴代モデルの中でも一番異質な存在であろう。911の象徴となる丸いヘッドライトを一新し、ボンネットと一体型になったティアドロップ型に変更された。そして、ポルシェ史上初となる水冷エンジンを搭載したモデルでもある。

6代目の997型になると、911おなじみのフロントフェイスが復活するが、それは996型のデザインが不評であったため、従来の911デザインに戻したと言われている。チルト機構付きステアリングを搭載することで、快適性にも配慮されたスポーツカーとして仕上がった。

続いて、7代目の991型は、アルミ素材を導入したことで、軽量化に成功したモデルだ。また、先代モデルに比べてボディも大型化されており、全長67mm、ホイール100mmもの拡大が行なわれた。

8代目となる992型は、後輪駆動でありながら911型と変わらないワイドボディが特徴。また、991型と比較するとシャープで正確性の高いハンドリングを実現している。

8代目911のデザインは日本人の手によって生まれた

8代目の992型は、日本人デザイナーが手掛けている。911は、1964年から受け継げられたデザインDNAを活かしながら、時代の流れに合わせてさらなる飛躍を求められるため、その責任も大きいだろう。この大役を引き受けたのが、ポルシェAGでエクステリアデザインを担当する山下周一だ。彼は、ポルシェ唯一の日本人デザイナーでもある。

スポーツカーの中でも、圧倒的な人気を集めるポルシェ911のデザイナーともなれば、世界中の人々に自分の作品を発信することができる。一方、歴史が色濃く残っているモデルだからこそ、呪縛を感じることはないのだろうか。その答えについては、「決められた枠の中でさらなるクリエイティビティを活かし、解決方法を見出していくことが楽しい」と彼は語る。どんな困難にも、楽しんで挑める精神はデザイナーでなくとも見習いたい姿勢の一つだ。

***

ポルシェを代表するモデルとして、半世紀に渡る間歴史を築いてきた「911」。誕生以来、現在に至るまで多くの人々に指示されるスポーツカーだ。変わることのない信念を持ちながらも、時代とともに進化を遂げるその姿こそ、911に惹きつけられる魅力の一つなのでないだろうか。

関連記事

  1. 日本のサーキット変遷史Vo.3~オートポリス編~
  2. アウディよりEVモデルの第3段となるe-tron GTが発表 2…
  3. 【動画】キムタクもハマっちゃう!日産の新CM公開
  4. ワールドカー「カローラ」がFWD化されるも、4A-Gを得て後輪駆…
  5. 米 GM キャデラックよりブランド初のEV リリックの詳細が公開…
  6. 【VW アルテオン】機能美を追求した4ドアクーペにシューティング…
  7. 【レクサス 新型IS】7年ぶりモデルチェンジで「ピュアスポーツセ…
  8. 「メルセデス・ベンツ(自動車)とヴァージル・アブロー(ファッショ…

おすすめ記事

  1. シントトロイデン 2021-2022シーズン ユニフォーム

Category



PAGE TOP