江戸期の天保年間、初代店主だった森田久造が寿司屋を始めたことから、現在まで脈々と味を受け継ぎ続けている「すし久」。店舗自体は上で紹介したふくすけと同じく、おかげ横丁内に位置しているため、都心からのアクセスなら同じルートで訪れることが可能だ。
創業当時の風情が感じられる外観は、平成元年に復元・改装されたもの。吹き抜けとなっている店内の梁には、明治4年の遷宮時に下賜された宇治橋のけやき材をそのまま使用。店先の看板も当時のままだ。
すし久で頂きたい伊勢グルメは、なんといっても郷土料理である「てこね寿し」だ。さらりと爽やかにシメられた酢飯の上に、分厚いカツオの漬けを豪快に盛ったてこね寿しは、いわゆる漬け丼とは異なるもの。
伊勢志摩で水揚げされた新鮮極上なカツオの力強い風味と、地元のブランド米を使った酢飯の調和は絶品の一言である。
また、すし久では毎月朔日の早朝、季節の素材で作られる朝粥が振舞われる。伊勢神宮の参拝前に足を運ぶのもおすすめだ。