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新型ミライが12月正式発表 トヨタがFCVで目指すものとは

トヨタが誇る究極のエコカー、ミライが2代目へフルモデルチェンジされる。2020年12月の販売開始がすでに予告されている新型ミライ。燃料電池車の旗頭として市場開拓を掲げていた初代モデルから、新型ではどのように変わったのだろうか。

プラットフォームはレクサスLSと共通

2019年に開催された東京モーターショーにて、MIRAI Conceptの名前で登場。従来型とは異なるデザインで注目を浴びた新型ミライだが、量販モデルにおいてもその美しいスタイリングはコンセプトモデルより引き継がれるようだ。

そのシルエットの美しさは、プラットフォームとユニットのレイアウトが刷新されたことに起因する。ガソリンエンジン搭載車であればエンジンにあたる心臓部、FCスタックをフロントシートの下部よりボンネットに移設。3本になった水素タンクの内1本をセンタートンネルに設置した。さらに、モーターをリア側へ移動させることで後輪駆動を実現。違和感のない、スッキリとしたプロポーションを生み出している。

3サイズは全長4,975mm×全幅1,885mm×全高1,470mm、ホイールベースは2,920mmだ。

先代と比べると、よりロング、よりワイド、よりローになった。

スタイリッシュなセダンスタイルは、レクサスのLSとプラットフォームを共通することにより実現している。

先代がSAIのプラットフォームを用いていたことから考えると、新型MIRAIはセンチュリーに次ぐ巨大なプラットフォームを採用するということになる。

「クラウン」というよりも「セルシオ」的だ。

トヨタ ミライ

走行性能・航続可能距離共に向上

注目の燃料電池は第2世代となったトヨタフューエルシステム(TFCS)だ。

圧縮水素を充電して発電、電力によりモーターを稼働させて推進力にする電気自動車であるミライ。先代では1度の充填でおよそ650kmの航続を可能にしていたが、新型ではおよそ850kmに航続可能距離を伸ばすことに成功した。

さらに、航続可能距離だけではなく、FCスタックとモーターの出力も向上。最高出力155psだった先代のスタックより174psへパワーアップ。モーターも最高出力154psより182psに強化されている。

そして、今回採用されるスタックはよりコンパクトかつ、軽量なパワートレーンだ。サイズでいえば、従来型と比較して2周りほど小さくなり、重量は32kgにまでそぎ落とされた。

同程度の出力を発揮する2Lのガソリンエンジンであれば、通常110kgほどはある。新型ミライのスタックがどれだけスペース効率が良いか分かるだろう。

また、スタックや水素タンクといった重さのある部品の配置を最適化。フロント/リアで50:50という重量配分を実現している。後輪駆動で重量配分50:50といえばBMW顔負けであるが、高剛性ボディの採用や床下のフルカバーにより優れた走行性能を獲得。ねじり剛性に至っては25%ほども強化されており、欧州セダンにも匹敵する。

空気清浄機能も搭載

新型ミライは、ただの燃料電池車であることを許されなかった。そのことを示す最たる機能が空気清浄機能である。元来FCVであることから、走行中に二酸化炭素を排出することはない。

そればかりか、2つの特殊なフィルターを装備することにより、走行中に取り込んだ空気から汚染物質を取り除いて清浄な空気を排出するのである。もはや、ゼロエミッションを超えたマイナスエミッションだ。

「動く巨大な空気清浄機」と呼んでしまうといささかシュールであるが、ディスプレイに映し出されるエアピュリフィケーションによって、ドライバーはミライがどれだけ空気を浄化したのか分かるようになっている。トヨタは、新型ミライを使って「エコカー」の概念を再定義したいのかもしれないとさえ思えてくる。

また、搭載されるFCスタックを利用した外部給電機能も備えている。PHVやEVではポピュラーな機能であるが、新型ミライでは車内に設置されているAC100Vのコンセントより、一般家庭のおよそ4日分に相当する電力を補うことができるという。排ガスを一切排出しないFCVだからできるクリーンな電力はレジャーはもちろん、災害時などにも大きな活躍が期待できるだろう。

トヨタ ミライ

※ ※ ※

従来型で広めたFCVを、より洗練させた上質なセダンとして確立させた新型ミライ。クオリティや走行性能、環境性能では間違いなくセダンの中でもトップクラスだといえるだろう。

クラウン製造終了のニュースや噂が飛び交う中、“代わり”のモデルとして顧客に受け入れられるのか今月12月の正式発表が待ち遠しい。

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