兼ねてより新型の開発が囁かれていたスバルのBRZ。遂に、2020年11月18日に新型となる第2世代目の姿が公開された。発表を行ったのは米国スバル、スバルオブアメリカ。
大海原を超えてデジタルワールドプレミアされた新たなBRZの姿に迫る。
日本が誇るコンパクトFRスポーツが復活
スバルのBRZは、2012年にトヨタとの共同開発により生まれたモデルだ。搭載するボクサーエンジン“Boxer Engine”の“B”、後輪駆動“Rear wheel drive”の“R”、究極を意味する“Zenith”の“Z”を社名の由来とし、兄弟車であるトヨタ 86と共にたった1世代で大人気FRスポーツとしての地位を確固たるものにした。
しかしながら、2020年の7月に製造終了。在庫販売の受付を行っているのみという現状であった。
それ以降は、新型の噂がまことしやかに囁かれるばかりであったが、2020年11月5日に北米スバルが突然新型BRZのティザー写真を同社のホームページ上で公開。そのまま同月18日のワールドプレミアという運びになったのである。
新しくなるBRZは、これまで以上にブランド力を強化する狙いが見られる。スタイリングやデザインは基本的にキープコンセプトとしながらも、細部を磨き上げてきたなという印象だ。
フロントフェイスでは、特徴的な六角形のヘキサゴングリルを大きく、低い位置に設置した。押し出し感の強いアグレッシヴなデザインで見た目から性能の高さをアピールする。
初代モデルではティアドロップ形状となっていたヘッドランプはシャープなデザインに変更され、目ヂカラもアップした。
サイドビューは、フロントのフェンダー部に大きなエアアウトレットが開けられ、その下部ラインよりリアフェンダーに繋がる大きなサイドシルスポイラーが、エモーショナルとメカニズムという2つの要素を融合させた。
洗練されたインテリア、アイサイトも採用
インテリアでは、スバルの最新デザインを随所に取り入れる。スバル車ならではの前方視界の良さを強調するため、インパネ周りは水平基調のデザインが採用された。
メーターパネルはフルデジタル化している。7インチのTFT液晶に、セグメント液晶2枚のパネルが組み合わされた。これらは、従来通りのアナログ仕様が用意される可能性もあるという。
さらに、シートにおいてはドライバーの身体を包み込むスポーツシートが引き継がれるが、設計やデザインを見直す。純正のスポーツシートとしては、これまでにない「包まれ感」を備えたシートが搭載されるだろう。
また、新型BRZにはスバルの先進安全運転支援機能であるアイサイトが採用される。日本仕様は明らかにされていないが、米国仕様車にはAT車に標準装備される。
スバルのアイサイトといえば、渋滞時ハンズオフアシストといった機能を含む最新のアイサイトXが話題であるが、それらの採用も期待だ。
性能向上した水平対向エンジンを搭載
搭載されるパワートレーンは、いい意味で当たり前。2.4L 水平対向エンジンの新型だ。各所に改良が施されたこのエンジンは、吸排気性能の向上とフリクションが低減される。
最高出力228hp/最大トルク184lb-ftと、従来型と比較して大きく数値に変化は見られないが、レスポンス良く高回転域で気持ちよく吹かせるエンジンに仕上がっているという。
この心臓に、6速のMTとATを用意。それぞれの詳細な仕様については明かされていないが、AT仕様車の「SPORTモード」走行時におけるシフトのレスポンスを向上させた。
優れたエンジンを搭載するコンパクトFRスポーツカーであることは、BRZの誇りである。そのため、3サイズは従来型とほぼ同サイズとした。このボディを乗せるプラットフォームも先代より引き継ぐ。
しかし、インナーフレーム構造や構造用接着剤を採用することにより、剛性をおよそ50%以上アップさせることに成功している。
また、より俊敏なモデルに仕上げるため、ルーフ・フロントフェンダー・ボンネットにアルミを用いた。ボディの軽量化を実現し、全体の重量バランスを整える。これにより、新型BRZは運転する楽しさをさらに高めたモデルに仕上がった。
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第2世代になり、最初の戦場にアメリカを選んだスバルのBRZ。最大規模のマーケットであっても、日本のFRスポーツカーの注目度の高さをうかがわせる。
さらに、BRZがモデルチェンジして復活したとなれば、兄弟であるトヨタの86も黙ってはいないはずだ。
こちらも、新型の登場が期待できる。これからの続報に目が離せない。