2020年10月14日(現地時間)、アキュラがフラッグシップSUVであるMDXの次期型をプロトタイプでワールドプレミアした。今回発表されたのは4代目モデルにあたり、2021年初旬の発売を予定している。
ついにヴェールを脱いだ4代目MDX
アキュラは、ホンダが海外で展開する高級車ブランドである。トヨタのレクサス、日産のインフィニティと似たような立ち位置だ。そのアキュラの中にあって、MDXは最上位のSUVに君臨している。現行の3代目MDXがデビューしたのが2013年であるため、およそ7年ぶりのフルモデルチェンジとなる。
MDXは、日本国内でも販売されていたことがあるが、初代モデルの2003~2006年という短い機関に留まっている。それ以降、正式に日本への輸入はされていないが、それ以降もMDXは主にアメリカ国内で売れ続けた。既に累計では100万台を越えて販売されている。
アキュラブランドのアメリカでの販売の1/3を、このMDXが占めるというのだから驚きだ。
今回のアップデートにて、MDXはアキュラ史上最もプレミアムかつハイパフォーマンスで、高い環境性能を備えたモデルになるという。すでに、ラインナップの拡充も発表されており、アキュラのラグジュアリーサルーンであるTLXに続く形で、ハイスペックグレードのSも登場することがアナウンスされている。
次世代アキュラデザインの方向性を示す
エクステリアデザインは、アキュラの次世代デザインを方向性として、各所に取り入れた。フロントエンドはどっしりと直立し、ロングノーズは力強い。流れるようなラインを描くルーフは、視覚的な「低さ」を感じさせ、角度を付けて寝かされたリアウィンドウが美しくクーペスタイルを演出する。
フロントグリルは3Dかつ大型化したダイヤモンドペンタゴングリルだ。このグリルは、2018年のIMSAウェザーテック・スポーツカーチャンピオンシップにアキュラが投入したレースカー『ARX-05』をモチーフとしたデザインが与えられている。
この特徴的なグリルに、アキュラが“Chicane(シケイン)”と呼ぶLEDデイタイムランニングライト内蔵の4連ジュエルアイLEDヘッドライトを組み合わせる。
存在感のあるフロントフェイスデザインは、まさに新たなアキュラの「方向性」だ。
リアビューでは、横に長いシケインLEDコンビネーションライトに加え、フロントバンパーとの「つなぎ目」を限りなく希薄にした一体造形のリアゲートにより、スマートかつスポーティな印象を生み出している。
また、先代よりも3インチほど延長されたホイールベースが伸びやかなサイドビューと車内の快適性を生み出した。足元には専用デザインの21インチホイールを履きこなす。ホイールの奥に光るのは、ブレンボ製の4ポッドブレーキキャリパーだ。
カスタマイズ性が高く、ラグジュアリーなキャビン
インテリアにおいても、アキュラのデザインが次のステップへと移行したことを示す。上質さと明瞭な前方視界を重視したダッシュボードには、オーナーの好みで自在なカスタマイズを施すことができる12.3インチのドライバーメーターや同型の最新タッチパネル式フルHDDのセンターディスプレイを配置する。
これらの映像機器に加え、車内25個のスピーカーを擁するプレミアムオーディオシステムを含むアキュラ・オールデジタルプレシジョンコクピットにてインフォテインメントシステムを構築する。
また、ホイールベースを延長したことにより車内のシート3列全てでフットスペースが拡大。ヘッドクリアランスもより広くなっており、窮屈さは感じられない。
シートについて言及するとすれば、フロントシートには今回新たに設計されたスポーツシートを採用する。
包み込むようなホールド感と座り心地を追求されたシートとなる。
2列目以降のシートにおいても専用のアレンジが施されたキルティングやグラデーション、ステッチやパイピングを採用したシート表皮となっており、レザーの素材にもエボニーレザーやライトオーキッドレザーなど素材にもこだわった。
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パワートレーンには、アキュラの上級モデルらしくi-VTECバルブトレインを組み込む3.5LのV型6気筒エンジンを搭載。
これに10速のATを組み合わせる。遅れて登場予定のグレード タイプSでは、エンジンがV6ツインターボとなり、最高出力355hp/最大トルク354lb-ftを発揮するという。
北米での販売時期に関しては冒頭述べた通りであるが、日本への導入は未定となっている。ここにきて、アキュラブランドが日本へ里帰りするとすれば喜ばしいニュースであるが、現状は望み薄だ。
是非とも日本上陸を果たして、アキュラのブランド力を見せつけてほしいものである。