欧州スズキが、新型ステーションワゴン スウェイスを発表した。販売が開始されるのは、2020年冬を予定している。
欧州におけるスズキのラインナップで、ただ1モデルのステーションワゴンとなるスウェイスとはどのようなモデルなのだろうか。
カローラツーリングスポーツのOEMモデル
スズキ スウェイス。名前だけを聞けば新型である。
しかし、その正体はトヨタのカローラツーリングスポーツ(日本名カローラツーリング)のOEMだ。なぜこのようなことが起こったかというと、2017年にスズキとトヨタの間で交わされた業務提携が実った結果である。
トヨタはスズキに電動化技術や電動モデル自体の供給。
スズキはトヨタに小型車やスモールパワートレーンを供給することを約束した。両社のストロングポイントを活かすための提携であるが、対外的にもこの取り組みの成果を具体的にアピールするために、カローラツーリングスポーツはスウェイスとなって海を渡ることになったのだ。
もちろん、OEMなのでスウェイスはカローラツーリングスポーツの面影を残しつつ、スズキ独自のモデルに「見えるよう」細かな変更がなされている。
一応、「OEM」が何なのか分からない方のために説明をしておくと、OEMはこと自動車業界では日常茶飯事的に行われていることであり、要はなんらかのモデルをA社がB社に供給する。そして、B社は供給されたモデルに自社で独自の小変更を加えて自社ブランドのモデルとして販売することを指す。
消費者目線からすると、なぜそんなことを?と思うかもしれないが、メーカーにとってはメリットも多い。新規モデルの開発費用は掛からない上、時間や経費と言った様々なコストをカットしてラインナップの充実を図ることができるのである。
ベースモデルとの差別化
スウェィスは、エクステリアにも独自に装備が与えられている。
フロントフェイスにおいては、元々のカローラツーリングスポーツに与えられていたトヨタのエンブレムを削除。代わりに、ボンネットの先端部分にスズキの「S」エンブレムを装着した。エンブレムの台座が鼻のように垂れ下がっていた元のモデルと比較すると、幾分かスマートな印象を与えてくれる。
さらに、フロントバンパーのデザインも変更された。カローラツーリングスポーツは、六角形形状のダクトが大きく左右に広がり、その中に新円のフォグランプが設置されている。
対して、新型スウェイスにおいてはフロントバンパー自体を3分割構造にしたことで、ダクト部分も3分割された。左右のダクトは“コ”の字形状となり、その中にフォグランプを装着する。
以上のようなエクステリアデザインの変更により、スウェイスはカローラツーリングスポーツと比べて、どちらかといえばプジョー車のようなイメージを獲得した。
スマートなスポーティさだけでいえば、スウェイスの方が上手く演出できているといえるかもしれない。
パワートレーンは1.8L ハイブリッドエンジンのみ
ベースとなったカローラツーリングスポーツには、1.8L/2.0Lという2種類のハイブリッドエンジンが用意されていた。
しかし、新型スウェイスに用意されたパワートレーンは、1.8Lの直列4気筒ハイブリッドエンジンのみだ。最高出力72hp/最大トルク14.5kgmのガソリンエンジンに、最高出力72hp/最大トルク16.6kgmを発生させるモーターを組み合わせたユニットとなる。
このパワートレーンにCVTを組み合わせることで、時速100km到達までに掛かる時間は11.1秒。マックススピードは180km/hとした。
また、欧州における厳しい排ガス規制に対応するために摩擦を低減し、EGRと呼ばれる排気ガス再循環システムを更に大型化。熱管理を最適化するため、様々な改善を施した。
スウェイスに採用されているのは、トヨタのGA-Cプラットフォームであるが、このシャシーにさらに馴染むよう出力・静粛性を保ったままエンジン自体をダウンサイジングした。その結果、スウェイスはCO2排出量を78g/kmに抑えることに成功。新欧州サイクルにも適合する環境性能を手に入れた。
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スズキの新型スウェイスは、ヨーロッパ各国のスズキディーラーより販売される。冒頭伝えた通り、販売時期は2020年冬としているものの本体価格等は明らかになっていない。参考にするとすれば、既に販売されているカローラツーリングスポーツだろうか。こちらは、欧州市場で2544ポンド~(日本円でおよそ346万円~)だ。恐らく、そう変わらない価格での販売になるのではないだろうかと予想される。