シボレーのSUV攻勢が止まらない。2019年の1月には、14年ぶりにブレイザーを復刻。さらに、2020年にはトレイルブレイザーもカムバックさせた。今回は、久方ぶりに市場へ帰ってきた新型ブレイザーにスポットする。
おかえり、トレイルブレイザー
トレイルブレイザーの名前に、懐かしさすら覚える人も多いかもしれない。このモデル、かつては日本へ正規輸入されていたことがあるからだ。
正規輸入されていたのは、トレイルブレイザーの初代にあたる、2008年モデルまで。全長4,870mm×全幅1,900mm×全幅1,850mmというアメリカンなフルサイズのボディに、直列6気筒やV型8気筒の大型エンジンを搭載していた。
同車は、2012年にはフルモデルチェンジを受け、2代目へと代替わりしたものの、日本はおろかアメリカ国内でも販売されず、中東や南米を中心に展開された。そして、2020年にトレイルブレイザーはフルサイズボディを脱ぎ捨て、コンパクトSUVとして復活を遂げたのである。
エクステリアには、今風のシボレーアイコンを与えられて
エクステリアデザインは、新型ブレイザーをベースとしている。2代目までの「誰が見てもSUV」然としたいかついデザインから、都会的なクロスオーバーSUVとなった。
全体的なディティールは、映画『トランスフォーマー』に、バンブルビーとして出演した経歴もあるカマロ譲りのスポーティなシルエットである。
大型化したフロントグリルには、特徴的なティアードヘッドランプを組み合わせた。フェンダー部をブラックアウトすることでマッシブさを表現する。
ボディカラーは、トリムに合わせて3タイプがラインナップ。オフロードなテイストを持たせたアクティブではルーフを塗分けた2トーンカラー、スポーティーなテイストが際立つRSではアイコンであるボウタイエンブレムにブラック塗装を施し、個性的なRSエンブレムでフロントグリルを飾る。
さらに、フロントスプリッターの形状が変更され、フロントリップを装着したような外観となる。
3サイズは、全長4,400mm×全幅1,800mm×全高1,650mm。街中での取り回しの良さを重視した形だ。
積載能力はかなりのもの
インテリアでは、デュアルコックピットのコンセプトが採用されている。最新のシボレーのインフォテインメントシステムを搭載し、7インチの対角カラータッチスクリーンを備える。
インパネ周辺の造形や、シートの質感、シフトブーツのステッチなど、アメ車は内装の高級感がないと言われていたのはひと昔前のことだ。新型トレイルブレイザーのインテリアの質感は、正直ドイツ車や日本車のそれにまったく引けを取らないレベルに仕上げられている。
また、ミドルサイズのSUVなので、乗員定員は5名だ。フロントのヘッド/レッグルームは共に101cm以上を確保、リアのヘッドルームは97.5cm、レッグルームも100cm取られている。
収納能力の高さも忘れては行けない。カップホルダーやドアポケットなど、細かな収納に加え、センターコンソールには3.5L、アームレスト内部に4.4Lのストレージを備えている。
さらに、リアシートは60:40の分割可倒式だ。格納できるリアシートをたたむことで、最大で約1,540Lのラゲッジスペースが広がる。大きさだけでなく、長さがある荷物を積み込むために、助手席シートをフロントに傾斜させて倒すことで、およそ2,590mmの長さがある荷物も飲み込んでしまう。
コンパクトかつハイパワーなエンジン
パワートレーンは、ゼネラル・モータースが2014年に発表した次世代のダウンサイジングガソリンエンジンである「ECOTEC」に改良を加えたものだ。
新型トレイルブレイザーには、今回最高出力137hp、最大トルク162lb-ftを発揮する1.2Lガソリンターボエンジンと、最高出力155hp、最大トルク174lb-ftを発生させる/1.3Lのターボエンジンがラインナップしている。
駆動方式にはグレードによりFWDかAWDが用意され、9速のトランスミッションが組み合わせられる。
* * *
再登場した新型トレイルブレイザーだが、2代目モデル同様日本への正式な導入は未定である。現代風になったエクステリアデザインや、洗練されたインテリア。
アップグレードされたパワートレーンに扱いやすいボディサイズと、日本でも流行りそうな要素は全て兼ね備えている。
販売価格も、ベースグレードのLで1万9千ドル、日本円でおよそ200万円ほどと日本国内で流通している同クラスのモデルと比較しても、そう高くは感じない。
前述したように、トレイルブレイザーは日本でも販売実績がある。ぜひ、新型も日本導入してほしいものである。