中国 SAIC傘下、MGが2021年4月21日より開催予定の上海モーターショーにて公開予定のサイバースターコンセプトの姿を一部公開した。サイバースターコンセプトは、MGがオープントップの2人乗りスポーツカー市場への返り咲きを果たすための、重要な足がかりとなる。
MGBへのリスペクト
サイバースターコンセプトは、イギリス・ロンドンにあるMGのアドバンスドデザインセンターでグローバルデザインチームによって開発されたコンセプトモデルだ。2008年にデビューしたMGTF以来、久しぶりのオープントップロードスターである。
SAICが発表した純粋な電気自動車のコンセプトモデルとしては、2017年開催の上海モーターショーにて披露されたE-Motionに続く2番目のモデルとなる。
このサイバースターコンセプトがどのようなモデルなのか。ありていにいってしまえば、名クラシックカーとして現在でも人気の高いMGBを現代風、または近未来風に仕立てたモデルといえるだろう。
「未来のスポーツカーのコンセプトを探る」をコンセプトに掲げ、ロングノーズ・ショートテールに加え、丸型のヘッドランプなどMGBへのインスパイアが見て取れるだろう。
しかしながら、インスパイアの一言で済ませられないのがサイバースターコンセプト。あくまでも、ニュアンスとして伝説的な名車をモチーフとしているだけであり、基本的には最新のデザイン哲学と先端テクノロジーによって構成されている。
近未来的な内外装
フロントフェイスには、車体を起動させると展開するマジックアイと名付けられたヘッドランプを装備。MGらしい細く繊細なフロントグリルは、エアロダイナミクスを向上させるための全輪の空力エアダクトとしての役割も同時に与えられている。
アグレッシヴなスプリッターと、フィン付きのサイドスカートはセットだ。左右のフェンダーにはダクトを備え、レーザーベルトLEDのストリップが車体側面を走る。
リアでは、MGBを生み出したイギリスに敬意を表し、全幅のライトバーで囲まれたユニオンフラッグを象ったテールライトを採用した。テール形状自体は非常に滑らかであり、ウイングも装着。ボディサイドと同じくLEDが走るディフューザーと共に、サイバースターコンセプトの空力特性を改善するという。
インテリアは、エクステリア以上に近未来的だ。デジタルファイバーをインテリアのデザインコンセプトとし、ドライバー中心のレイアウトを採用した。完全に左右に分離されたコクピットには、ゼログラビティスポーツシートが搭載されている。
また、キャビンからはセンターコンソールに配置されるポートレートインフォテインメントシステムを用いることで、多くの5Gサービスを利用可能だ。さらに、中央に配置された大型のLEDインストルメントパネルが利便性を高める。
電動モデルならではの俊足
サイバースターコンセプトが発揮するパフォーマンスについては、まだ完全に公開されていないものの、ある程度の範囲までは明らかになっている。
機械的なパフォーマンスとスマートテクノロジーを持ち合わせるサイバースターコンセプト。モジュールレスバッテリーテクノロジーをアップグレードした電気アーキテクチャを備えている。航続可能距離はおよそ800kmで、停止状態から時速100kmに至るまで3秒を切る俊足の持ち主だという。もしこれが、製品版になっても維持されているとするならば第2世代テスラロードスターの大きな脅威となりうる性能である。
サイバースターコンセプトは、MGが生産している現行モデルとは全く異なるエレクトリックドライブトレインを用いることはほぼ確実だろう。MG5やSUVのMG ZSEVとは、そもそもコンセプトが異なるからだ。
ということは、先にも名前を挙げたE-Motionに採用されていたEV専用プラットフォームと、ツインモーター式4輪駆動システムを継承する可能性が高い。
※ ※ ※
1924年に自動車ブランドとして産声を挙げたMG。その歴史は、すでに100年を数えようとしている。サイバースターコンセプトが市販化になるとすれば、それは喜ばしい記念日になることは間違いないだろう。イギリスが誇る伝統ブランドであるMGが見せてくれる、未来のスポーツカーの可能性に期待したい。