ヒュンダイが展開する高級ブランド ジェネシスがEVコンセプトカー ジェネシスXコンセプトを公開した。すでに、新型としてloniq5、キアからはEV6をデビューさせているヒュンダイ。今回発表されたジェネシスXコンセプトはヒュンダイにとって何を意味しているのだろうか。
5番目のコンセプトカーは2ドアのクーペスタイル
ジェネシスにとって、コンセプトカーを製作し、世界に公開したのはこれで5代目である。カリフォルニアのイベントで、初めてカバーを外されたジェネシスXコンセプトは、驚くべきことに2枚ドアのEVであった。
ジェネシス自身が、EVベースのGTと呼ぶジェネシスXコンセプト。SUVやコンパクトカーではなく、時代の潮流に逆らうかのようなスタイリングはジェネシスの挑戦状ではないだろうか。
ジェネシスは2018年にも2枚ドアのコンセプトカー・エッセンシアを公開している。リアに刻まれた「GENESIS」の文字がなければ、誰もジェネシスが手がけたモデルとは思えない程に洗練されたデザインは、世界中の高級車メーカーに衝撃を与えた。
エッセンシアが、ジェネシスの技術力を世界に見せつけるための“パフォーマンス”であったとしたら、今回のジェネシスXコンセプトはエッセンシアのテイストを受け継いで製作された“準備運動”だ。そのまま量販モデルになったとしても、なんら不思議はない。そのことは、現在のジェネシスラインナップと比べてみると良く分かる。純粋なコンセプトカーというよりは、ブラッシュアップ待ちの試作モデルに近いからだ。
伝統と革新のエクステリア
ジェネシスXコンセプトをブラッシュアップ待ちの試作モデルと呼んだのには、多きな理由がある。それは、他のジェネシスのモデルと同じく現在のジェネシスのデザインフィロソフィーであるアスレチックエレガンスデザインが用いられているためだ。
ボンネットはフェンダーまで包み込み、つなぎ目のないクラムシェルボディを実現。フレアフェンダーは巨大で、ジェネシスがGマトリクスと呼称するメッシュデザインを用いたクレストグリルは、強烈にブランドを主張する。
さらに、ツーラインと呼ばれるデザイン要素も盛り込まれており、その最たるものがヘッドランプに見て取れる。フェンダーアーチを貫通するように伸びるLEDの2本の帯は、内燃機関の冷却を行う必要のないEVならではの発想だ。
装着されるホイールは、所謂5本のスポークにそれぞれ角度を付けたフィンと呼ばれるタイプのもの。その奥には、高い走行性能を予感させるドリルドローターと6pot(8pot?)のブレーキポットが光る。
また、滑らかで美しいクーペスタイルのボディを彩るのはレンソイスブルーと名付けられた専用カラーだ。この色は、ブラジル連邦共和国の北東部に位置する、レンソワ・マラニャンセス国立公園に雨季の間だけ現れる「ラグーン」と呼ばれる無数の湖の色をモチーフとしているという。
車内は個性的な造形に
インテリアは、車両を生産する際に出た、通常なら破棄される素材を用いて造られた。フロントシートの色使いも個性的で、運転席はスコッチブラウン、助手席側はオーシャンブルーグリーンだ。
ステアリングホイールは2本スポークで、センターバッジにはジェネシスのシグネチャーレース付きのエアバッグを搭載している。これもまた、現行のジェネシスモデルとの関連を匂わせる巧妙なデザイン方法といえるだろう。
ただし、現在のモデルに採用されているような円筒形のインフォテインメントコントローラーに対応するシフターは取り払われ、代わりにドライブセレクターも含む球形のギアセレクターに置き換えられている。これは、ジェネシスがクリスタルスフィアエレクトロニックシフトレバーと呼んでいるものだ。なんにせよ、浮いたように見えるフローティングセンターコンソールが余りにも先鋭的である。
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ジェネシスは、ジェネシスXコンセプトを基にした何らかのEVを開発中である可能性が高い。なぜなら、現代自動車グループにはE-GMPというEV専用の優れたアーキテクチャが存在しているからだ。ならば、今回発表されたこのコンセプトモデルから、デザイン、テクノロジーその他多くのものを受け継ぐことになるだろう。もちろん、このワイルドで妖艶な2ドアクーペがそのまま生産モデルとなる可能性もなくはない。そうなれば、ユーザーは諸手を挙げて歓迎してくれるだろう。
これほどまでに美しいEVを、世界はまだ見たことがないのだから。