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【CG】名車と名高い100シリーズの系譜・アウディ A4という傑作

A4は、アウディの主力モデルの1つだ。初代モデルのデビュー以来、一つとびぬけたクオリティでユーザーのみならず他メーカーの度肝を抜き続けてきた。そんなA4も既にシリーズ通算5代目となる。今回は、アウディのA4がどのようなモデルなのか探っていこう。

A4は、アウディを心の底から味わえるモデルだ

A4は、アウディのラインナップで最も大切にすべき一台だろう。2019年には世界で184万台を売り上げたアウディ。確かに、Q8やA8というフラッグシップモデルや、e-tronのような挑戦的なモデルの注目度は高いが、販売台数を支えるのはA4を中心としたミドルサイズのモデルであることは間違いない。もちろん、販売台数を無視しても、A4にはアウディを語る上で外せない主人公としての存在感がある。

初代A4、いわゆるB5はメルセデスやBMWが採算を重視したコスト削減の車造りをしなければならなかった自動車産業のグローバル化が進む90年代に生まれた。では、A4もまた、コスト削減の代償に品質が犠牲になったのだろうか?そんなことはなかった。アウディは、品質・高級感・ブランド力を徹底して引き上げる策を採ったのである。

空力に優れた100シリーズで培った曲面のスタイルにシャープさを取り入れた先進的でスポーティなスタイル、ボディ剛性の大幅な向上、エンジンユニットを始めとするメカニズムの改良により、これまでにない圧倒的なクオリティを持ったモデルを初代A4としてデビューさせたのだ。このモデルが業界に与えた衝撃は大きく、他メーカーのエンジニアが我先にA4を購入したという逸話も残っているほどだ。

それから21年後、さまざまな改良を加えられたA4は、ついに5代目がデビューすることになる。アウディの世界観が詰まったA4は、現行モデルとなってなお、強烈な個性を主張するヒーローとしてセグメントをけん引している。

スニーカーを履いた時のような軽快さが魅力のパワートレーン

現行型アウディA4はB9系と呼ばれる。ラインナップは、大きく分けてセダンとアヴァントと呼ばれるステーションワゴンの2タイプだ。オールロードクアトロというSUVモデルも存在しているが、こちらはA4という名前を冠してはいるものの、全くの別モノと捉えて構わないだろう。

アウディは、車名のアルファベットと数字の組み合わせによりクラスとサイズを表現している。そのため、A4は「Aから始まるベーシックなモデル」の中では、ちょうど中間に位置しているモデルということになる。他メーカーのネーミングに比べれば随分親切だ。

パワートレーンは最高出力150PS、最大トルク25.5kgmを発生させる1.4L 直列4気筒のインタークーラーターボ付きエンジンを基本とする。モデル名に「40」が付けば最大出力190PS、最大トルク32.6kgmの2.0L 直列4気筒インタークーラー付きターボエンジンになり、「45」が付くアウディ自慢の4WDシステムを搭載したクアトロモデルではエンジン種類はそのままに、最大出力252PS、最大トルク37.3kgmにまで引き上げられる。

実はこの1.4TFSIエンジン、同じVWグループのパサートと同じメカニズムだ。組み合わせられる7速のデュアルクラッチも呼称は異なるが同じもの。1.4L/2.0L共に近年のデキが良いターボエンジンらしく、速度域を問わず数値以上のパワーを感じさせてくれる。いわゆるドッカンターボではなく、伸びやかかつトルクフルな加速はアウディの技術力の高さを感じさせてくれるだろう。

本当の上質さとはなんなのか、A4はそれを教えてくれる

アウディのエクステリアは、世代を重ねる毎に確実に進化を遂げている。しかし、4代目から5代目へのフルモデルチェンジは、基本的にキープコンセプトだ。熱心なアウディファンでなければ、変更点に気が付かないことだってあるかもしれない。

とはいえ、精悍さは段違いだ。特に、フロントフェイスに目を惹かれるだろう。アウディのキャラクターアイコンといえば、シングルフレームグリルだ。日本人デザイナー・和田智氏がA6のデザインを手がけた際、初めて採用されたこのグリルをシャープなヘッドライトと組み合わればシャープな印象はひとしおだ。マトリクスLEDヘッドライトを装着すれば、いよいよ誰が見てもアウディだとアピールしてくれるだろう。

また、インテリアも、より先進性を感じさせる空間となった。アウディバーチャルコックピットが近未来的な操作感と視認性を演出している。一部グレードではオプション扱いとなっているこのメーターは、フルデジタルながら速度/回転計をデジタルメーターのように表示し、計器中央には地図も表示してくれる。基本的なクルマの設定や、オーディオの操作もできてしまうので利便性バツグンだ。4代目より拡大したボディサイズの恩恵を受け、ヘッド/レッグルームが拡大し、後席の質感や居住性も向上している。細部に神が宿る、という言葉がある。アウディA4のインテリアには、まさにこの言葉がピッタリだ。

近年、各メーカーはスポーティさをウリにしてユーザーの若返りを図ろうとやっきになっている。だが、アウディに関してはそうではないと断言しよう。アグレッシブさを強調した派手なエクステリアも結構、過剰なほどのハイパワーエンジン結構。それはそれでひとつのスポーティさだ。スポーティさを語る項目は無限に存在している。ボディに入れられるたった一本のキャラクターライン、ヘッドライトの微妙な角度、どこをとっても隙がないインテリアの質感や仕上げ……それらを地味でつまらないという人にはアウディの美学や世界観は決して理解できないだろう。A4は、ひいてはアウディのクルマ造りは常に王道。ごく当たり前に運転出来る、軽快なエンジンとプレミアム感を備えたモデルがA4というクルマなのだ。

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