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10年ぶりにハマーが復活  新型では1000PSを誇るEVモデルへと進化

ゼネラルモータースのGMCブランドが、2020年10月24日にニューモデルとなるハマーEVを発表した。製造終了となって以来およそ10年ぶりに復活するハマーは、EVのパワートレーンを搭載するパワフルなモデルとなる予定だ。

GMC HUMMER EV

EVとなって堂々の凱旋

「お帰りハマー」、モデルリバイバルの報を聞いて、そうつぶやいてしまったのは恐らく1人や2人だけではないはずだ。市場にハマーが戻ってくるのは実に約10年ぶりとなる。

復活以前、最終モデルであったH3は2010年の5月に製造を終了。GMCのハマーブランド買収に関して、中国政府と折り合いが付かなかったという背景があった。

1992年、軍用の4輪駆動車だったハンヴィーに由来する出自を持つハマーは、国内外にファンを擁する個性的なフルサイズSUVである。日本の公道でもたまに見かけることがあるが、車線いっぱいいっぱいにまで広がる巨大なボディは戦車のようにも見える。すれ違いざま思わず息をのむ迫力はハマーならではの個性だろう。

そんなハマーは、新型になるにあたりEVのピックアップトラックとなって復活する。

生産自体は2021年の開始を目指す。

第一弾となるエディション1には新しいアルティウムバッテリーが採用されるという。

1000PSを発揮するモンスターマシンへと進化

GMCのラインナップにおいて、ゼロエミッションを実現するスーパートラックとして位置づけられるハマーEV。

今回電動化されるにあたり搭載されるアルティウムバッテリーは、完全オリジナルの独自技術により、全EVモデルの中でもトップクラスの最高出力1000PS/最大トルク15,591Nmを3モーターとの組み合わせにより発生させる。PHEVであるフェラーリ SF90ストラダーレ、自然吸気のアストンマーティン ヴァルキリーと比肩する出力はもちろんだが、その暴力的とも言えるトルクには圧倒される。

この数字、日本車を引き合いに出すのは少し心苦しいが、日産 アリアのおよそ30倍だ。

余りにもトルクフルなモンスターマシンである。そのため、0-69km/h加速はおよそ3秒。電気の力と共に、ハマーは速い足も手に入れたのだ。

新しいハマーEVに搭載されるアルティウムバッテリーは、車の性能を引き出すだけではなく、バッテリー自体の性能にも優れる。最大で350kWの800V急速充電に対応。

10分間の充電で、およそ161kmの走行を可能にした。フル充電の状態ではおよそ563kmを超える走行可能距離を実現。EV推進システムとしては、間違いなくトップクラスの性能を秘めている。

オフロード性能は次の次元へ

EVとなるハマーだが、軍用車時代より受け継ぎ続けたタフさは健在である。それどころか、最新の技術と装備を与えられてこれまでよりもさらに頑強になったといっても良い。

特徴的な機能の1つに「クラブウォーク」がある。

これは、特殊な4WSを搭載することにより低速走行に、後輪/前輪を同じ角度に向けることで直進的な移動だけではなく斜め移動を可能にする技術だ。故に、クラブウォーク=カニ歩きと名づけられたこのシステムは、世界初。

ハマーEVにのみ与えられる装備である。

また、エクストラクトモード2と呼ばれる機能を持つアダプティブエアサスペンションは、サスペンションの長さを調節することで車体のリフトアップを自在に行える。

高さをおよそ149mm上げることができるこの装備により、ハマーEVは最大渡河深度も向上。これまでにない悪路走破性を備える。

無限軌道の戦車のごとく、道なき道を進むハマーEVの悪路走破性をさらに高めるのが、足元のODグッドイヤー・ラングラー・テリトリーMTタイヤである。35インチのこのタイヤを標準装備し、オフロード性能と操縦安定性をハマーに与える。

さらに、大事な心臓部を守るため、バッテリーパック周辺や主要な部分にはアンダーボディアーマーをスチールプレートで構成する。このアーマーは鎖帷子のように、ハマーの急所を保護するという。

※ ※ ※

なお、新しいハマーEVにはハイスペックな3モーターモデルと、廉価グレードに当たる2モーターモデルが用意される。

ハマーEVエディション1の登場は2021年秋ごろであるが、3モーターのハマーEV 3Xはそれより遅れて2023年、2モーターのハマーEV2は2024年の春登場の予定だ。

現状、日本国内にはGMCの正規輸入代理店はなく、日本導入についてもアナウンスはない。

甦ったハマーの有志を再び見られるだけでも、幸せなことなのかもしれない。

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