LC500をベースに、ソフトトップのオープンモデルとなったLC500 コンバーチブル。日本に先駆けて、昨年北米でデビューを果たしていたが、今年7月にようやく日本へ導入された。日本車史上、最もラグジュアリーなモデルと評される魅力とは?
レクサスが魅せた底力
カブリオレ、ロードスター、スパイダー、コンバーチブル……
オープンカーは地域や形式によって多くの呼び方が存在するが、共通しているのはラグジュアリーブランドには欠かせない存在であるということだ。
ベントレーのGT コンバーチブルに、ロールスロイスのドーン。メルセデスのSクラスやBMWの8にだって、オープンモデルは存在する。
言ってしまえば、富裕層向けの嗜好品なのである。
さて、日本が誇るラグジュアリーブランドといえばレクサスである。世界を相手に戦うレクサスのコンバーチブルといえば、レクサス LC500 コンバーチブルだ。
ベースとなったLC500は、2ドアのクーペ。
2012年にデトロイトモーターショーで発表されたコンセプトカー『LF-LC』を基に、新型プラットフォームと共に開発。その後2017年に、フラッグシップクーペLCは、満を持してとしてデビューした経緯がある。
2019年に日本に先駆けて北米市場に投入されたLC500 コンバーチブルであるが、2020年7月15日、めでたく日本導入となったのだ。
開閉すら優雅なソフトトップ
クーペスタイルをベースとしたLC 500コンバーチブルは、はっきり言って美しい。例え、走っていても止まっていても、ルーフを開けていても閉じていても、ここまで絵になる日本車は稀有な存在だ。
ルーフをオープンにした際の開放的なデザインと、クローズにしたクーペスタイルの流麗なラインをそれぞれで追求した伸びやかなシルエットは、余りにもデザインコンシャスである。
ラグジュアリー・コンバーチブルの見せ場は、ルーフを開ける時であろう。LC500 コンバーチブルのルーフはソフトトップとなっており、完全に格納される自動開閉式だ。およそ15秒で開閉が終わるソフトトップは、その動きにも拘りが。
「書の三折法」にインスピレーションを得たという開閉動作は、作動開始・途中・動作終了の3段階に分解。3ステップのつなぎ目で、不自然な速度の変化がなくなるよう滑らかで自然な動きを生み出した。
また、ソフトトップによる防音性の低下にも配慮し、特殊な吸音材を4枚重ねた構造とした。
これにより、ハードトップに比肩する静粛性も獲得している。
豊富なカラーバリエーションも魅力
LC500 コンバーチブルでは、ボディ・ソフトトップ・インテリア、異なる部位による豊富なカラーコーディネイトも魅力だ。
モダンでシンプルなホワイトノーヴァガラスフレークやダークグレーマイカ、ソニックシルバーを始め、オプションカラーとして用意されたラディアントレッド、ブレージングカーネリアン、ネーブルイエローという3種のコントラストレイヤリング。合計11色のボディカラーを備える。
ルーフ色はブラック、またはサンドベージュの2色。インテリアカラーは、ベージュ系で高級感漂うオーカー、見た目も鮮やかなフレアレッド、上品なブラックだ。
インテリアにおいては、キルティングやパーフォレーションで表すグラデーション。ヘッドレストバックに入れられるエンボス加工の「L」マークなど、ルーフをオープンにした際の、外からの見栄えにも拘ったという。
スポーツカーとしても一級品
搭載されるパワートレーンは、通常のLC500と同様の5.0L V型8気筒エンジンだ。最高出力477PS/最大トルク55.1kgf・mを発揮する。このエンジンに電子制御10速オートマチックトランスミッションであるDirect Shift 10ATを組み合わせた。
ドライブフィールを高めるために、LC500 コンバーチブルではサウンドジェネレーターやエグゾーストを“演出”する外装バルブを装備。
オープンにして、V8サウンドを体感するのはさぞ爽快なことだろう。
また、ボディ剛性を高めることで実用性も確保。補強パーツとして用いられる各部のブレースに、マテリアルとしてアルミダイキャストを用いた。
加えて、マグネシウムやアルミといった軽量かつ高耐久の素材を適切に配置し、最適な重量バランスも実現している。
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実用性やパッケージングは一流ならば、デザインは超一流なのがレクサスのLC 500 コンバーチブルというモデルだ。オープンモデルは、ブランドそのものの価値を決定付け、引き上げる力がある。
1500万円というラグジュアリーな価格にも、納得せざるを得ないだろう。