BMWの5シリーズセダン及びツーリングが、マイナーチェンジを受けたのは2020年5月のこと。そして同年8月12日に、プラグインハイブリッドのラインナップを拡大。トップグレードとなる545e xDriveの追加が発表された。欧州では2020年秋の導入が予定されている。
直列6気筒エンジンにモーターを組み合わせ、総合出力は394PSを発揮
改良新型となった5シリーズだが、プラグインハイブリッドにはこれまで4モデルがラインナップしていた。今回、追加が発表された545e xDriveはシリーズのトップグレードに当たるモデルだ。
搭載されるパワートレーンは、直列6気筒ターボエンジンとなる。最高出力286PSを発生させるこのエンジンに、最高出力109PSを生み出すモーターを組み合わせることで、システム総合出力は394PSに達する。最大トルクは600Nmだ。
駆動方式はxDriveの4輪駆動で、最高速は250km/h、0-100km/h加速は4.7秒。モーターのみでの航続可能距離は54-57kmとなっている。なお、モーターのみで走行する場合の最高速は140km/hに抑えられる仕様だ。
欧州複合モードでは47.6km/Lという素晴らしい燃費を発揮し、CO2排出量も49g/kmを実現した。545e xDriveは、走行性能のみならず環境性能にも優れるモデルとなっている。
新たに採用されるBMW eDriveゾーンとBMW Maps
545e xDriveを始めとして、5シリーズのプラグインハイブリッド搭載モデルには、新たにBMW eDriveゾーン機能が全車に設定される。これにより、BMWは環境問題への対策とパリ気候変動協定の目標達成のため、効果的な役割を担うことを明らかにしていく方針だ。
エミッションフリー走行専用のグリーンゾーンを設置している都市部では、システムが自動的にグリーンゾーンを検知。自動的にEV走行へと切り替わる仕組みだ。
このBMW eDriveゾーンは、今後3/5/7/X5シリーズに設定されるすべてのプラグインハイブリッドモデルに装備されるという。現在、欧州およそ80箇所に設けられているというグリーンゾーンだが、クルマがグリーンゾーンに近づくとナビゲーション表示でグリーンゾーンを告知する機能も備わるという。
また、このナビゲーションシステムにはBMW Mapsを初採用。常に変化し続ける交通状況をリアルタイムで反映させ、走行ルートや目的地までの到着時間をより緻密に計算することができるという。
コネクティビティでは、Apple CarPlayおよびAndroid Autoにも標準対応。スマートフォンとの接続をワイヤレスで行うことが可能だ。さらに、My BMWというアプリをダウンロードすれば、車外からでもエアコンの設定やバッテリーの残量をチェックすることができる。
リニューアルしたデザイン
BMWの5シリーズといえば、日本国内でも人気が高いモデルの1つだ。現行モデルは2016年にデビューした7代目となり、世界販売台数は堂々の70万台を誇る。
545e xDriveの追加に先駆けて行われたマイナーチェンジでは、エクステリア/インテリアに大きく変更が加えられた。
フロントグリルは大型化し、リデザインされたキドニーグリルを備える。アダプティブLEDヘッドランプはよりシャープな形状に変化し、Lを2つ寝かせたような形状のLシャープライトグラフィックで洗練された印象を与える。
さらに、従来のものよりアルミホイールのデザインも新しいものになった。オプションとして用意されている20インチのホイールには、今回初めてBMWのインディヴィデュアル エアパフォーマンスホイールが設定された。
このホイールは、軽量化に成功すると共にエアロダイナミクスも最適化されたデザインが与えられている。また、インテリアではセンターコンソールの一部がグロスブラックでフィニッシュされ、トリムストリップにも新たなデザインが与えられているのだ。
さらに、ディスプレイは10.25インチのコントロールディスプレイが用意された他、オプションとして12.3インチのディスプレイも装備することが可能だ。
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545e xDriveがラインナップに加わったことにより、5シリーズはより多くの顧客の要望に応えられるようになった。
環境に配慮しつつ高い走行性能を持ち合わせている点から、国内での販売を望む人も多いかもしれない――というのは建前で、直6エンジン搭載のエコなモデルというだけで食指が伸びる人は多いだろう。
545e xDriveには、国産車にはない魅力が詰まっている。