2020年7月29日、ランボルギーニがエッセンツァ SCV12をワールドプレミアした。世界限定40台の販売となるエッセンツァ SCV12は、サーキット専用モデルであるハイパーカーだ。
開発はランボルギーニが抱えるモータースポーツ部門「スクアドラ・コルセ」、全体のデザインは「チェントロスティーレ」が手がけた。
走りの”本質”を表現する
エッセンツァ SCV12は、ランボルギーニの伝説的なラインナップであるミウラやイオタ、ディアブロGTに連なるモデルとなる。
爆発的なパワーを生み出すV12型の自然吸気エンジンを搭載し、レーシングモデルより受け継いだ空力特性と、最高のドライブフィールを提供するために新たに設計されたさまざまな技術を搭載する。
また、モデル名となっているエッセンツァ SCV12のSCV12とは、スクアドラ・コルセと、搭載するV12型エンジンを合わせたもの。エッセンツァとは、イタリア語でエッセンス。つまり、“真髄”や“本質”を意味する。
830hpを発生させるV型12気筒エンジンを搭載
サーキット専用モデルとして生まれたエッセンツァ SCV12は、まさにハイパーカーと呼ぶにふさわしい動力性能を発揮する。
ターボではなく自然吸気を採用した6.5L V12型エンジンは最高出力830hpを誇り、紛れもなくランボルギーニ史上最強のスペックをようする。このエンジンに、トランスミッションには新たなX-Tracシーケンシャル6速ギアボックスを採用。重量の軽減と配分を最適なモノにすることに成功した。
さらに、アルミ素材を用いるフロントフレーム及びカーボンファイバー製モノコック構造で、1.66hp/kgという圧倒的なパワーウエイトレシオを実現するとともに、最高クラスの安全性を追求している。
これにより、エッセンツァ SCV12は国際自動車連盟が定めるところによるプロトタイプレーシングカーの安全規則を尊重する初めてのレーシングカーとなった。
また、足回りにはプッシュロッド式リアサスペンションを採用。ブレーキシステムは、世界最高の精巧さと制動力を誇るブレンボ社製のブレーキシステムを装備する。
サーキット専用モデルなので、サイピングされたタイヤを履く必要もない。エッセンツァ SCV12が履くのは、ピレリが専用開発したフロント285/650・リア354/725のスリックタイヤである。ちなみに、サイズはフロントが19インチ、リアが20インチの前後異径サイズだ。
多くの専用パーツを装着
エクステリアは、そのすべてが高い空力特性を得ることに注力されている。ランボルギーニがサーキットで得たノウハウを元にデザインされたエクステリアは、250km/hでの走行時、1200kgものダウンフォースを発生させる。
装着されるパーツも、ランボルギーニのストラダーレモデルとは一線を画すパーツで構成されている。デュアルインテーク内蔵型レーシングフード・ルーフに備わるラムエア・インテークスクープ・フロントスプリッター・サイドシルのフリックとフィン・カーボンファイバー製リアウイング・リアディフューザーなどがそれにあたる。
縦方向に跳ね上がるシザースドアや、ヘキサゴン形状のLEDヘッドランプといった個性的な装備も採用された。
また、ドアを開けると、まさにGTカーのコクピットが広がっている。非対称のY字型カーボンで支えられたインストルメントパネルやダッシュボード周辺は耐荷重性を備えたスタイリングであることを主張するが、そんなものは飾りに過ぎない。あるのは、エッセンツァ SCV12が持つ究極のスパルタンさだけだ。
インテリアでは、ステアリングホイールも新設計となっている。F1に投入されるマシンから着想を得たというこのステアリングは、ドライバーが運転中にステアリングから手を放すことなく走行中の様々な情報を中央にマウントされるディスプレイから読み取ることが可能だ。
車内のほとんどの部分でもカーボンファイバー素材を採用しているエッセンツァ SCV12では、シートのシェル部分もカーボンだ。FIAの公認を受けたOMPシートは、ここでもドライバーの安全と極めて高いサポート性を実現している。
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エッセンツァ SCV12のオーナーは、エッセンサSCV12クラブの一員として名前を連ねることなる。
この特別なプログラムでは、会員が専用のガレージと専用のサービスを利用できるだけではなく、2021年より開かれるアライブ・アンド・ドライブというイベントにも参加可能となる。
このイベントでは、ル・マン24耐で5度の優勝経験があるエマニュエル・ピロ氏を始めとするそうそうたるメンバーからサポートを受けられるようだ。
サーキット専用のランボルギーニ、エッセンツァ SCV12は世界最高マシンであると共に、世界で最高の贅沢といえるだろう。