2020年6月。メルセデスが新型コンパクトSUV・GLAをデビューさせた。現在、予約注文を行っている。国内向けの第一弾として発表されたのは、2.0Lの次世代ディーゼルエンジンを搭載するGLA 200d 4MATICだ。今回は、初のフルモデルチェンジを受けた新型GLAのインテリアを紹介する。
一目でわかる新しさ
昨今のメルセデスのインテリアは本当に美しい。他メーカーのモデルと比べると、清潔感が段違いなのだ。ギラギラとした嫌らしさが全くなく、それでいてどこを切り取っても上質そのものだ。
GLAのインテリアにおいても例外はなく、モダンさと先進性が極上のバランスで共存している。基本的なデザインは現行型Aクラスの造形を引き継いだ形だが、SUVであるGLAをメルセデスの世界観に上手く落とし込んでいる。
一段と目を引くのが、ダッシュボードに設置されたワイドスクリーンディスプレイだ。インストルメントクラスター上部のカウルは取り払われている。この大きな横長のディスプレイは2枚の10.25インチのディスプレイを繋げたもの。一目見ただけで「あ、新しい」と思わせてくれるのだから流石だ。
また、エアコンの吹き出し口――5つの丸形エアアウトレットは、ジェットエンジンのタービンをモチーフとした特徴的なデザインとなった。メカニカルな造形が、運転席の“コクピット感”を強調してくれる。ドアトリムを始めとして、車内各所に仕込まれたアンビエントライトはエアコン吹き出し口の奥にも装備されており、さりげない上質さを醸す。
ダッシュボードに設置されたワイドスクリーンディスプレイ
パッケージングの上手さに唸らされる
新しいGLAのボディサイズは、全長4,415mm×全幅1,835mm×全高1,620mmとなった。このボディサイズ以上に、キャビンの拡大が顕著だ。
空間、というのは乗員に快適さをもたらす大きな要因の一つ。GLAはその部分にもこだわった。フロントシートのヘッドルームは22mm、室内幅は28mm、リアで43mmも広がっている。リアシートのレッグスペースに至っては116mm拡大している。
GLAでは、コンパクトSUVとしての取り回しの良さを向上させるため、シートのポジションにも工夫が加えられている。フロントシートの位置を従来モデルより97mm程度高めに設定。さらに、運転中ドライバーの視界に入る、Aピラーの断面を最適な形状へリデザインすることで、前方の視認性を向上させた。
また、リアシートは140mmの調節を可能にする。60:40の分割可倒式シートを採用し、SUVならではのさまざまなシーンに対応するアレンジを実現した。同時に、40:20:40の3分割シートバックを搭載することにより、使い方の柔軟さは群を抜く。
積載能力も充分確保されており、ラゲッジ容量はリアシート通常使用時で435L。リアシートを全て格納することで、1420Lにまで拡大する。ラゲッジにエントリーしやすくするための機能として、足をリアバンパー下に差し込むだけでテールゲートを稼働させる機能を搭載。このテールゲートは、リモコンキーやテールゲートに設置されるボタンによっても開閉を可能にした。
学習機能を持ったAIを相棒として
先進装備として、メルセデスの基本装備となりつつある対話型インフォテインメントシステムであるMBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)を搭載している。
AIによる自然対話式音声認識機能で、ドライバーはスイッチ類に手を触れることなく多くのことを制御・操作することが可能だ。ナビゲーションの目的地設定、電話による通話、メッセージの入力および読み上げ、天気予報。さらに、エアコンの温度調節や照明に至るまで、有能な執事のごとくスマートに仕事をこなしてくれる。
コネクティビティも一層強化されており、スマートフォンを置くだけで充電してくれるワイヤレスチャージング機能も標準で搭載。USBコネクタも1基備わるので、使おうと思えばGLAをオフィスのように使うこともできるかもしれない。
もちろん安全装備についても抜かりはない。GLAには現行型Sクラスとほぼ同等の安全システムが搭載されている。レーダーセーフティパッケージはより高度化されており、ステレオマルチパーパスカメラとレーダーセンサーで捉えた映像は、リアルタイムで確認することができるうえ、見たい映像を切り替えることも可能だ。
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2代目となったGLAは、都市型SUVとしてパッケージングを大幅に見直されている。初代GLAもかなりのクオリティを誇ったモデルであったことは間違いないが、フルモデルチェンジに際し、より使い勝手の面で磨きが掛けられた印象だ。そういえばGLAは日本のゲームメーカー・任天堂の有名キャラクターであるマリオを採用している。スタイリッシュかつアーバンな一台は、マリオのように親しみやすいキャラクターであるということかもしれない。